【バルーン/雨とペトラ】の歌詞の意味を徹底解釈 | サビの歌詞が切なすぎる!
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
雨とペトラという曲名の意味を考察
非常に哀愁があり悲しげな曲ですが、そのなかにも美しさや主人公の孤高な雰囲気が漂っています。
曲名の“ペトラ”とはペトラ遺跡を彷彿とさせます。ペトラ遺跡とは自然の要塞であり、岩礁地帯であることから雨が降ると鉄砲水となって渓谷内を通過していきました。
曲全体を通して主人公の孤独な気持ちと、自分を理解してくれる者をこの先も永遠に待ち続けるのだろうということが伝わります。主人公の心を誰も本当の意味で理解し得ない、しかし美しく気高い、孤高のペトラ遺跡のように感じ取ることができます。
雨とペトラの歌詞の意味を徹底解釈
1番
誰かが言った いつか空は灰になって落ちるって
妄想の世の中で 日々を喰らっている
解釈誰かが言った 「いつか空は灰になって落ちる」って
妄想の世の中で毎日を生きている
「灰になる」とは、死や終わりを意味しています。空が灰になるとは、”この世にいつか終わりがくる”ということを言っています。
そして、そんなことは例えあったとしてもおそらくずっと先のことだったり、近い未来とは考えられないことから、空が灰になり落ちることを”妄想”と表現して、そんな妄想の毎日を生きる主人公の様子を表しています。
境界線を引いてしまうのも 共感覚のせいにして
街の灯の海で 居場所を探している
解釈境界線を引いてしまうのも共感覚のせいにしてしまう
街のたくさんの灯りで自分の居場所を探している
『共感覚』とは、通常の人にはなかなか見られない特殊な感覚のことを言います。
たとえば、文字を色として認識できたり、音に色がついて聞こえてきたりする感覚(能力)です。この感覚は共感覚といい、おそらく主人公はこのように、他者が感じ得ない感覚を持っているのでしょう。
なので、主人公自身、「自分と他者は分かり合えない」と考え人間関係にも境界線引いてしまうのです。そして、グループや集団ではなく、街という単位で主人公は自分の理解者を見つけることができず精神的な居場所を探しています。
何処へ行くにも この足は退屈に染まって動かない
少しだけ先の景色が見たいだけなのにな
解釈どこへ行くにもこの足は退屈だと思って動かない
ほんの少しだけこの先の景色が見たいだけなのに
主人公の、誰にも理解されない・理解してあげることもできないという孤独から、どこへ行こうにもどうせ楽しいことなど起こらないだろうという諦めの気持ちが刷り込まれてしまい、行動に移すにも何事も億劫になってしまいます。
ただほんの少し先の景色が見たいというだけなのに、今までの悲しさややるせない経験の数々から、その少しの行動を起こすことすらできなくなってしまったのです。
雨が降ったら きっと 頬を濡らしてしまう
枯れてしまった 色ですら 愛しくなるのに
目を瞑ったら もっと 遠く霞んでしまう
煩くなった雨の音 笑い飛ばしてくれ!
解釈雨が降ったらきっと頬を濡らしてしまう
枯れてしまった色ですら愛しくなるのに
目を瞑ったらもっと遠く霞んでしまう
煩くなった雨の音でこんな私を笑い飛ばしてくれ!
雨が降ったらきっと頬を濡らしてしまうとは、暗に雨が降ったら私は泣いてしまうほどに限界が来ているということでしょう。主人公の心はいつも孤独でたったの雨でも泣けてしまいます。
また、雨が主人公を唯一泣かせてくれるのでしょう。枯れてしまうことにも共感覚で色が見える主人公は、その色にすら愛しいと思えます。人と距離を取って過ごしてきた主人公にとって色を見て自分の感情が動くことすら懐かしいのです。
目を閉じ愛しい気持ちを感じた過去を思い出しても、そのことすら遠い昔であるように霞んでしまいます。
2番
誰かが言った いつか溜息は夜に化けて歌を歌う 妄想の世の中で 日々を喰らっていろ
「ため息は夜に化けて歌をうたう」とは、(鬱屈した気持ち)ため息はやがて闇・夜など暗いものに化けていくのだということを表しています。
優しい嘘をなぞったせいで 離れる声に気付かない 溶けた月が足下に落ちて 静かに揺れていた
誰かがかけてくれた優しい言葉を何度も思い出して孤独を紛らわせているうちに、その言葉をかけてくれた人物が離れていってしまうことに気付けなかった。
そんな自分に嫌気がさしています。そんな主人公に残ったものは、誰でもない、静かな月の灯りだけです。
夜が降ったら きっと 今日を責めてしまう 満たされない 日々の底で 夢を見ているだけ 目を逸らしても ずっと 後悔と哀の隙間 取り残されてしまう前に 手を伸ばしてくれ
夜になると主人公は、自分を責め自己嫌悪に陥ってしまいます。
孤独の日々で心が満たされることなく、どんなに現実(孤独)から目を逸らしてもやはり今までの後悔と悲しみから逃げることはできません。
今度は、孤独に浸らないから、大切なものが離れていくのに気付かない哀れな自分にはもうならないから、どうにかこの深い孤独に取り残される前にもう一度だけ手を差し伸べてほしいと願います。
雨が降ったら きっと 湿るアスファルトを背に映して俯いた 独りぼっちで また 明日に期待をして
主人公はいつまでも自分の理解者を待ち続けます。今まで散々待ち続け、もはや心を失いかけているにも関わらず、それでも希望を捨てきれず待ち続けるのです。