【Eve/ドラマツルギー】の歌詞の意味を徹底解釈 自分を作っているのは他人!?
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
ドラマツルギーという曲名の意味を考察
「ドラマツルギー」とはどういう意味でしょうか。
国語辞典によると、「ドラマツルギー(ドラマトゥルギー)」とは、演劇に関する理論・法則・批評などの総称だそうです。wkipediaによると社会学の意味での「ドラマツルギー」は「人の行動は、時間・場所およびオーディエンスに依存しているとされる。」という考えのことのようです。
つまり、人または自分は外的要因によって行動し、作られていくということでしょう。
この「ドラマツルギー」という曲名の意味が歌詞とどういった関係があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
ドラマツルギーの歌詞の意味を徹底解釈
1番
頭でわかっては嘆いた 転がってく様子を嗤った 寂しいとか愛とかわかんない 人間の形は投げだしたんだ 抱えきれない 言葉だらけの存在証明を
Eve -ドラマツルギー
自分がダメな人間だと頭の中ではわかっていて、どこか嘆いている自分がいる。
同時に、周りに流されている自分をどこか他人のことのように嗤っている自分もいる。
あぁ、寂しいとか、愛だとか。他人に対する感情なんて、自分が他人みたいなものなのだからわかるわけないじゃないか。
先ほど「ドラマツルギー」とは、人の行動は、時間・場所およびオーディエンスに依存しているとされる。という考えだとご紹介しました。つまり、人は他人によって作られているといっても過言ではないわけです。
今回の主人公は、そんな「ドラマツルギー」の考えのように、「自分は自分ではない。自分は他人に作られているんだ。」というような考えを持っています。なので、他人に対する感情なんてわかるわけないじゃないか。といっているわけですね。
この考えがどういった物語を作っていくのか。続きを解釈していきましょう。
この小さな劇場から出らんない 気づいたら最後逃げ出したい 僕ら全員演じていたんだ エンドロールに向かってゆくんだ さあ皆必死に役を演じて傍観者なんていないのさ
Eve -ドラマツルギー
この小さな檻の中から逃げ出したくても出ることなんてできない。
僕も君も。みんな支配されて演じさせられて、人生を終えるんだ。
みんな気付かずに自分で進んで支配されているんだ。
ここから主人公の考えが少し変わってきます。
前の歌詞では、「自分は他人に作られている」という考えでしたが、この部分の歌詞では、「自分も他人も誰か巨大な支配者に支配され、作らさせられている」と考えるようになっています。そして、そのことを誰も気付かずに当たり前のように自分で進んで支配されていっていると思っているようです。
これは、現実社会でも言えます。日本は資本主義の元成り立っていますが、これって結局資本を持っているもの(=支配者)にお金がどんどん集まる仕組みなんですよね。そしてこの仕組みをおかしいと思うものは少なく、自分で進んで労働をしています。
この部分だけ見ると支配されているように感じませんか?(資本主義が悪いといってるわけではないです)
もちろん働かなければ生活できないし、生きることができないわけです。この、「働かなければ生きられない→働くためには生きなくてはならない」というようなループが、最初に出てきた「劇場(=檻)」なのではないでしょうか。
"ワタシ"なんてないの どこにだって居ないよ ずっと僕は 何者にもなれないで
Eve -ドラマツルギー
自分なんてなくて。どこを探したって自分なんてなくて。
ずっと僕は自分を持つことなんてできないんだ。
特に解説することはありません。ここまでの歌詞の通り、「自分というのは他人に作られたもので、自分は自分ではない。」ということを歌っています。
僕ら今 さあさあ 喰らいあって 延長戦 サレンダーして メーデー 淡い愛想 垂れ流し 言の愛憎 ドラマチックな展開をどっか期待してんだろう
Eve -ドラマツルギー
僕ら互いに喰らいあって無駄な競争はやめて、少しばかりの愛想と愛憎を持って、自分を自分にしてみないか?
そんなワクワクする展開を僕は期待しているのだろう。
互いに喰らいあうの部分。ここは「他人が自分を作り、自分が他人を作るなら、お互い喰らいあえば自分が自分になるよね」ということだと思います。
この部分から読み取れることは、主人公は今の「他人が自分を作り、自分が他人を作る」という状態を望んでいないということです。そして、そんな状態から抜け出すことを望んでいるのでしょう。
君も YES YES 息を呑んで 采配は そこにあんだ ヘッドショット 騒ぐ想いも その心 撃ち抜いて さあ まだ見ぬ糸を引いて 黒幕のお出ましさ その目に映るのは
Eve -ドラマツルギー
君も君も、この考えに同調すれば何かが変わってくるんじゃないか?
このワクワクする考えで民衆の心を撃ち抜いてさ
そうすればきっと、我々が知らない黒幕が現れるだろう
そしてその目で見るものとは...
解釈の「ワクワクする考え」というのは、「僕ら互いに喰らいあって無駄な競争はやめて、少しばかりの愛想と愛憎を持って、自分を自分にする」という考えのことです。
この中の「無駄な競争をやめる」の部分が重要で、競争をやめるということは依存の支配からの脱却を意味します。つまり、主人公は支配からの脱却をみんなに望んでほしいと思っているということですね。
また、「黒幕」というのは、支配者のことだと思います。
2番
触れたら壊れてしまった 間違ってく様子を黙った 僕ら全員無垢でありました いつのまにやら怪物になったんだ その全てを肯定しないと前に進めないかい
Eve -ドラマツルギー
自分が手を出すと失敗して、その間違いを認めることができなかった。
僕らはまだまだ子供だったんだ。
いつのまにか悪者になるのが怖いんだ
これら全てを認めないと前に進めないかい?
ここの部分は、「僕ら互いに喰らいあって無駄な競争はやめて、少しばかりの愛想と愛憎を持って、自分を自分にする」という考えにまだ同調していない人々への問いかけだと考えられます。
とりあえず何も考えないで行動してみないかという問いかけですね。
「怪物」という単語をどう解釈するかかなり悩みました。今回は「悪者」と解釈していますが、「狂人」だとか「暴れ者」などとして、主張を押し付ける人と解釈するのも面白いかもしれませんね。
『まあ君にきっと無理なんだ』 「だから君にはきっと無理なんだ」 いつのまにやら外野にいたんだ そんなガヤばっかり飛ばしてきたんだ 皆必死に自分を守って救いの手を待ってるのさ
Eve -ドラマツルギー
まあ、君には無理だろう。だから君には無理だ。そうやって自尊心を保つうちに、
いつのまにか周りに置いていかれたんだ。
そんな風にみんな内心思っていて、そんな自分を変えたいと思っているのさ。
ここの部分。『まあ君にきっと無理なんだ』「だから君にはきっと無理なんだ」(Eve -ドラマツルギー)と、他人を否定することで自尊心を保っている人のことを歌っていますね。
そしてそんな人は救いの手を待っていると主人公は思っているようです。
ちなみにこの救いの手というのは、今の支配からの脱却なのでしょう。
考えたくはないよ 馬鹿になっていたいもん ずっと僕は 何者にもなれないで
Eve -ドラマツルギー
本当は考えたくなんかないよ。
このまま役を演じたままでいた方が楽だから。
そんなことを考えてしまうからずっと僕は自分を持つことなんてできないんだ。
2番で主人公の考えに同調していない人になんとか同調してもらおうとしていた主人公。ここで「本当はこのまま支配されていた方が楽だ。」と少し弱い部分を見せます。
そして、こうやって言い訳してしまうからずっと僕は自分を持つことなんてできないんだ。と歌っていますね。
だから今 前線上に立って その旗は高く舞って 劣勢 頼る相棒 言葉すら必要ないよ ドラマチックな展開はドットヒートしてくだろう
Eve -ドラマツルギー
言い訳を考える前に前線に立って、自分から行動しよう。
もちろん不利な戦いではあるが、みんなが団結すればなんとかなるだろう。
そして、このドラマチックな展開はより激しくなって、おわっていく。
ここの部分に登場する「ドットヒート」とはなんでしょうか。「ドットヒート」と検索しても一切出てきません。おそらくこれは「デッドヒートから派生した造語」なのではないかと解釈しました。
少し無理があるかもしれませんが、そう解釈した理由をご紹介します。
デッドヒートという言葉を英語に直すと、「dead heat」となります。このデッドの部分のdeadという単語の意味はdieの過去形で死んだという意味になります。つまりdead heatは死ぬほど(無意味な)暑い争いとなるわけですね。(デッドヒートには無意味な争いという意味もあります)
でも、主人公にとってはこの争いは無意味でもないし、死ぬ戦いでもないわけで、デッド(dead)はおかしいわけです。
そこでEveさんは、デッドの代わりに終止符の意味を持つ「ドット」を用いたのでしょう。(語呂もなんか似てますしね)
こう解釈すると、「ドットヒート」は激しくなって終わるという意味になります。
君も YES YES 息を呑んで 再会を誓いあって ワンチャンスしかない僕の 一瞬をかけるのさ クライマックスみたいな 手に汗を握るのさ ぽつりと鳴いた
Eve -ドラマツルギー
僕もそうであるように、君もこの一瞬に息を呑んで
この戦いが終わったらまたどこかで会おうと誓い合って
ワンチャンスしかないこの一瞬に僕の全てをかけるのさ。
そして、映画のクライマックスのような手に汗握る戦いをして。。。
ポツリと僕の中で何かが言った
この部分は前の部分に続き、黒幕との戦闘(=依存の支配から脱却するための行動)の様子が歌われています。
特に解説する部分はありませんが、どうやらクライマックスに近づいた戦いの中で主人公の中で何かが鳴いたようです。
何が、どんなことを鳴いたのか。続きを解釈していきましょう。
隠してきた真実はどこにもない 嗤ってきた奴らに居場所はない 思い出してぽいってして感情はない 流した涙 理由なんてない 優しさに温度も感じられない 差し伸べた手に疑いしかない 穴が空いて愛は垂れてしまいになったんだ 倒れそうな僕を覗き込んだんだ
Eve -ドラマツルギー
隠してた本音なんてなかったんだ。
自分をバカにして来た人たちはもう思い出したくもない。
(バカにする人を)思い出しては、忘れるという行為を無感情でやっている自分がいる。
たまに流す涙さえも感情も理由もないんだ。
他人がくれた優しさなんて表面上のもののようにしか思えない。
他人が差し伸べてくれた手でさえ疑いの目で見てしまう。
そして僕の中にある愛は穴が空いて流れ出してしまったんだ。
そんな倒れそうな僕をどこか客観的に見ていた自分がいた。
どうやら、鳴いたのは自分だったようです。最後の文からわかりますね。
ここでは、主人公の弱い部分が淡々と歌われています。
人間の弱いところって普段隠せていても、ここぞって時にぽろっと出ちゃうもんなんですよね。主人公もそうだったのでしょう。
諦めかけた人の前にアンタは いつも嘲笑うようにおでましさ 君にはどんな風に見えてるんだい 呼吸を整えて さあ さあ ずっと僕は 何者にもなれないで
Eve -ドラマツルギー
こうやって諦めそうな人の前にあんたはいっつも嘲笑うかのようにくるよな。
こんな無様な俺を君はどんな風に見えてるんだ?
さあ、もう一度呼吸を整えて仕切り直しだ。
あぁ、ずっと僕は自分を持つことなんてできないなぁ
ここでいう「アンタ」とはなんでしょうか。巷では「バカにする人」だと解釈している方がいらっしゃいますが、私は人ではなく「諦めてしまう弱い心」だと思っています。
こう解釈すると自分の中でしっくりくるんですよね。
ここの「君」というのは一個前の歌詞でも出てきた、「自分を客観的に見ている自分」のことです。
以下の部分からは1番のところと歌詞が同じなので説明はありません。
僕ら今 さあさあ 喰らいあって 延長戦 サレンダーして メーデー 淡い愛想 垂れ流し 言の愛憎 ドラマチックな展開をどっか期待してんだろう
Eve -ドラマツルギー
僕ら互いに喰らいあって無駄な競争はやめて、少しばかりの愛想と愛憎を持って、自分を自分にしてみないか?
そんなワクワクする展開を僕は期待しているのだろう。
君も YES YES 息を呑んで 采配は そこにあんだ ヘッドショット 騒ぐ想いも その心 撃ち抜いて さあ まだ見ぬ糸を引いて 黒幕のお出ましさ その目に映るのは
Eve -ドラマツルギー
君も君も、この考えに同調すれば何かが変わってくるんじゃないか?
このワクワクする考えで民衆の心を撃ち抜いてさ
そうすればきっと、我々が知らない黒幕が現れるだろう
そしてその目で見るものとは...