【King Gnu/it's a small world】の歌詞の意味を徹底解釈 | 単純な曲調の中の濃密な歌詞が常田大希の才能を感じさせる
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
Syampaというアルバムから見るit's a small world
King Gnuの2ndにしてメジャーデビュー・アルバム『Sympa』は「Sympa I」~「Sympa IV」までの4つのインタールードを挟んで構成されています。
特徴の似ている楽曲を分けることで「遭難から救出される」というストーリーを表現したコンセプト・アルバムに仕立てているのです。
「Sympa I」の後には『Slumberland』を先頭に攻撃的な曲を並べています。
「Sympa II」の後には『Hit man』など井口理の歌声が全面に出た3曲を配置。
「Sympa III」の後には『Player X』など物語のクライマックスに相応しい壮大な楽曲群が置かれています。
『it's a small world』はこの中でも「Sympa II」のグループの最後に入れられ、クライマックス前に一息入れるにはちょうどいい安らぎと、ロマンチックな香りのする楽曲です。
もともとライブで演奏していた曲で、ベースの新井和輝いわく、「余計な味付けをせず」ウッドベースで演奏が行われ、打ち込みビートに重ねることで柔らかい雰囲気が出ています。
この曲は謎の男が登場するMVが話題になりました。
ベンチで寝ている男が起き上がるところからMVが始まります。
ジムキャリーの映画『マスク』を連想させる特殊メイクの男は隣のぬいぐるみにキス。そして、画面の外に出ると猫を抱えて戻ってきます。
気分よく踊っているところに女性が現れ、男は雷に打たれたように恋に落ちます。
二人で踊り出し恋は順調に見えましたが・・・。
このMVは常田大希が主宰するクリエイト集団・PERIMETRONのOSRIN(オスリン)が監督をしていて、次のようにコメントしています。
「違う星の少し浪漫な出来事を表現しました」
なんとも印象的なMVですが衝撃度はかなりのもの。
そして、特殊メイクの男はボーカル井口理という二重の衝撃です。
男が女性に出会った時に光る雷は「人と人とが波形で繋がっていくイメージ」(常田)のアルバム『Sympa』に重なっていて、繋り続けてやがて巨大な群れを作るヌーのコンセプトにも共通しています。
It's a small worldという曲名の意味を考察
「it's a small world」は偶然、知人などに会ったときに「世間は狭いですね 」という意味で使われます。
ですが、直訳の「それは小さな世界」という意味のほうがしっくりくると思います。
「広い世界の中で今は二人きり。二人だけの小さな世界にいる」
といったところでしょうか。
しかし、少し深読みすると・・・
「君のような素敵な人に出会えるなんて世間は狭いね」
とも取れたりします。
どちらにしてもロマンチックなタイトルで、意中の人の前で歌ってみたい曲ですね。
常田大希は楽曲を制作するにあたって、「単純に俺の声は男臭い言葉のほうが合ってるし、逆に理が歌うときはロマンチックでスウィートな歌詞のほうがよく合う」と語り明確にパートが分担されています。
『it's a small world』は“ロマンチックでスウィート”に分類される曲で、アルバムでは『Hit man』『Don't Stop the Clocks』と共に並べられ、井口理の歌声に酔いしれ癒されることが出来ます。
この曲はプロの間でも話題でスガシカオが、
「クソカッコいい こうゆうのがドカンと売れてほしいなー」
とツイートし井口理が、
「ありがとうございます。黄金の月がめちゃくちゃ好きでよく歌ってました」
と返すなど、King Gnuの音楽センスが業界の中でも広く認められ、ヌーのようにどんどん膨れ上がっているのが伝わってきます。
It's a small worldの歌詞の意味を徹底解釈
1番
ダンスなんて上手く踊れないけれど
今だけは踊りたい気分
イケてるステップなんて刻めないけれど
誰も見ちゃいないし気にしないで
ダンスを踊りたいくらい気分が良い。
下手くそだけど。
いまなら誰もいない。二人きりだ。
主人公は意中の相手を射止めたのでしょうか?とてもテンションが上がっているようです。
あるいは二人きりになれたことだけでテンションが上がっているのかもしれません。
とにかく嬉しくて仕方ないようです。
普段はダンスなんてしないから下手だけども、それでも踊り出したいくらい嬉しいようです。
恋が進展しそうな時は誰でもテンションが上がるでしょう。
いつもなら腹立たしいことも許せたり、抱えていた悩みも吹き飛んだりして、スキップ気味に歩いてみたり。
主人公にとって、待ちに待った時がやってきたのです。
皆寝ちゃったよ
今夜、世界は僕らのもの
皆寝てしまったから世界はいま二人だけのものだ。
大勢でパーティでもしていたのか、あるいは街全体が寝静まったのか、いま起きているのは二人だけ。
まるでこの世界に二人しかいないみたいで、自分たちが自由に振る舞うことが出来る最高のシチュエーションです。
誰の目も気にする必要はなさそうです。
明日の事なんてわからないけれど
人生は止まらないし
夏の終わりの熱帯夜に二人
夜に眩しいほどに煌めいて
明日のことを心配しても時間は止められない。
夏の終わりのこの夜に眩しいくらいに輝こう。
生きているといろんな悩みがあると思います。
ですが、明日のことを心配していると今を楽しめません。
ほっといても時間は流れていきます。
心配しても仕方がないのです。
だから、この夜に二人で今だけの時間を輝かせたいと主人公は歌います。
「熱帯夜」というのは「熱帯夜と思えるほど熱い夜にしたい」という表現かもしれません。
皆寝ちゃったよ
今夜、世界は僕らのもの
一度解釈したので割愛します。
一度解釈したので割愛します。
君の世界に僕も生きられるなら
それは素敵な事でしょう?
(子供みたいに戯れあってさ)
大人になんてなりそびれたままでいいの
勝手に世界が回っても
(それもいい、いっそ君だけでいい)
君の心の中に僕がいられるなら素敵だ。
何も気にせず無邪気に戯れ合いたい。
大人になんてなれなくていいし、世間に置き去りにされていい。
君がいればいい。
様々な情報が行き交う時代です。
嬉しいことも悲しいことも知りたくないことも流れてきます。
少し世間から離れていると情報を聞き逃し世間から置いてけぼりにされたような気分になります。
けど、そんなこと今はほっといて戯れよう。
大人になるといろんなことに縛られて、心を押し殺して生きていかなければいけないときもありますが、何かに縛られるくらいなら子供のままでいい。
子供まま愛し合いたい。君がいればいいから。
主人公がどれだけ彼女を愛しているかが伝わってきますね。
2番
息を潜めろ街が寝静まるまで
Shining Shining Shining Shining
恐れずにこの夜に飛び込むの
Shining Shining Shining Shining
街が寝静まるまで隠れていよう。
輝け、輝け。
怖がらないでいい。
輝け、輝け。
「Shining」は「輝く」「明るい」「光る」といった意味があります。
主人公は彼女との明るい未来や輝かしい恋を夢見ています。
世間は冷たいけれど、街の喧騒から隠れて二人だけの世界に飛び込もう。
そこに君がいればいいのです。
君の世界に僕も生きられるなら
それは素敵な事でしょう?
(子供みたいに戯れあってさ)
大人になんてなりそびれたままでいいの
勝手に世界が回っても
(それもいい、いっそ君だけでいい)
一度解釈したので割愛します。
一度解釈したので割愛します。