【ぬゆり/フィクサー】の歌詞の意味を徹底解釈 | 最初の英語の意味は?心地いいメロディーが特徴の一曲!
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
フィクサーという曲名の意味を考察
フィクサーはfixerと表すことができ、その意味として、政府や行政・企業などの社会的組織においてなにか意思決定をする際、正規の手続きを踏まず決定に対して影響を与える手段・人脈を持つ人物を指します。
この曲は主人公が周りの組織・環境に馴染めず逆らいたくても逆らえず、自分自身どうすることもできないという鬱屈とした日々を送っています。しかし、そんな自分に打ち勝つフィクサーの役割を果たす主人公現れ、自由を手に入れるまでの過程を歌っています。
フィクサーが介入すると恣意的な結果になる場合がありますがその一方で、理想と現実の間で複雑化する人間関係や利害関係を円滑にすすめる役割を果たす場合もあるとの解釈があります。今回のフィクサーはまぎれもなく後者の意味を持つと考えられます。
フィクサーの歌詞の意味を徹底解釈
1番
今日までの記憶の全部を消してしまう時まで眠れない あしたから生きていく自分の身代わりが欲しくて堪らない
今日までの記憶の全部を消してしまうまで眠れない 自分が明日も生きていくために、自分自身の身代わりが欲しくてたまらない
主人公は自分が生まれてから今日までの記憶をすべて消したいと思っていることから、出生から今までとても大変な思いや辛い経験があり、それらを忘れ去って安心して眠りにつきたいと思っています。
また、そんな辛い毎日を生きていくために自分の身代わりとなってくれるものを探し熱望しています。
大丈夫と言わせて 後から君のせいにさせてはくれないか 今更意味ないから後から君のせいにさせてはくれないか
君に”大丈夫”と言わせて、後から君のせいにできないだろうか 今更意味などないから後から君のせいにさせてくれないだろうか
何かが起こったときそのすべてを自分ではなく”君”という存在のせいにしたい。という思いから、君に一言「大丈夫」と言わせたい主人公の思いがあります。
できない約束を とうとうと溢れる一言一言ばかりに脳を奪われるくらい
できない約束を とうとう限界になり溢れる言葉たちに思考を奪われるくらい
できない約束とは、自分と君との間で行われる約束のことで、自分ともうひとりの自分である”君”との約束を意味します。
ついに主人公の気持ちが溢れ出し、それが自分の頭のなかを支配しなにも考えられない、主人公の思いが爆発しつつある状態に陥ります。
意味を成せない 何も出来ない 見えない 逃げたい 飛びたい やめたい 逸らせない
意味を成せない 何も出来ない 見えない 逃げたい 飛びたい やめたい 現実から目を逸らせない
自分がやること、または人がやること、それらに意味を見いだせない。自分(だれか)を助け出すことができない。
真実が見えない。逃げ出したい。飛び降りてしまいたい。(仕事、学校、仲良しグループのいざこざなど、主人公のおかれている逃げ出したいと思うような環境)をやめてしまいたい。
脳内にあふれる主人公の本音が書かれています。しかし、『逸らせない』と言っていることから、主人公がこの環境から目を逸らしたり逃げ出すことができない状況であることがわかります。
だから 沈め 這い上がれないほどまで 飽きるまで 落とせ 救い垂らす時まで
だから沈め、這い上がってこれないほど深く 飽きるまで落とせばいい 救いの手が現れる時まで
そんな逃げられない環境なのだからいっそのこともっと、微かな望みさえ持てなくなるくらいまで沈めて欲しい。
(天や神などが)飽きるまでどん底まで落とせばいい。その環境から逃げ出したいけど、逃げることができない、だからいっそ絶望させてほしいという主人公の自暴自棄になっている気持ちが表れています。
2番
嘘味の粒々を喉から締め出した悲鳴ごと嚙み砕く 笑顔が下手なばっかで 知ったような口ぶりに沿ってやり過ごす なりたくなかった
嘘の数々を喉から締め出した悲鳴ごと噛み砕く 下手な笑顔を作りながら知ったような口ぶりでやり過ごす こんな自分になりたくなかった
主人公は周りと同調するため本音はしまい込み自分に嘘をつきながら人間関係を築きます。
下手な作り笑顔をしながらやり過ごす毎日に、主人公自身「こんな自分にはなりたくなかった」と思っています。
今日役立つ眠たい眠たい理想で救われることを待つ
今日役立つであろう眠くなるような理想で自身が救われることを待つ
嘘だらけの毎日が救われるような、ありもしない理想が自分を助けてくれることをひたすら待ちます。
主人公自身そんな理想のような救いなどはないことは承知していますが、それでも誰かがこの毎日を変えてくれるのではないかと、本当にひそかに想う気持ちが伺えます。
一番目は「い」の口で言う 力強く固く痛く噛み締めて 死んでしまえ しまえ この先も過去も知らず
一番目は「い」の口で言う 力強く固く痛く噛み締めて 死んでしまえ 未来も過去も知らなくていい
「い」は歯を食い縛る形をとります。
その形で力強く噛み締めて言うという表現から、主人公の怒りややり場のない気持ちを表しており、その気持ちは主人公自分自身に向かっており「死んでしまえ」とまで言っています。こんな生活が続くなら未来だっていらないと、自分の過去も未来も否定しています。
嫌いなら 壊せ どうせなら加害者になればいい 食べきれない苛立ちも何も生まない悲しみも 味気なくて吐き出す前にもう次を歌え
この人生が嫌なら壊してしまえ どうせなら加害者になればいい 消化しきれない苛立ちも何も生まない悲しみも 吐き出す前に次を歌え
周囲ばかり気にして同調して生きていかなくてはならないのなら、主人公は自分なりに「壊せ」という結論を出します。
この壊せは二つの意味が考えられ、自分のつまらない人生を「壊す」のと、そんな周りの人間関係を「壊す」の二通りがあります。苛立ちや悲しみなんかにいちいち心を乱される前に、「次を歌え」=そんなこと気にしないで自分のやるべきことをやろう。と、いままでの主人公から一転して、前が開けたような気持ちをのぞかせます。
どうせなら 踊り踊れ 灰色になり切る前に 打ち鳴らせ 変われ 変われ 眠り落ちる時まで
どうせなら踊れ 灰色になりきる前に打ち鳴らせ 変わるんだ 眠り落ちるときまで
踊る=自分の好きなこと・やりたいことをやる、という意味で、どうせなら好きなことをしてしまえ!という自暴自棄とも前向きとも取れる気持ちを表現しています。
自分がダメになってしまう前に、変わるんだ。という前文の解釈からどちらかというと、いっそポジティブに、という思いが強いかと思います。変われ、変われと自身に言い聞かせるように、主人公は自ら変わりたいという気持ちを爆発させます。
最後の文の「眠り落ちる時まで」は、貸冒頭の眠る表現とリンクしています。
どうせなら 奪え 奪え 飼い慣らした嘘暴いて
どうせなら奪え 飼い慣らした嘘を暴いて
飼い慣らした嘘=自分自身を騙していい子のフリをしていた自分。を指し、そんな以前の自分から「どうせなら(自由を)奪え」と言っています。
煮え滾る頭に過ぎった虚像を見ていた 自分を見ていた
煮え滾る頭によぎった虚像を見ていた 自分自身だったんだ
今まで散々憤り怒っていたものの正体(虚像)は、実は自分自身であったことに気づきます。主人公の怒りの本当の矛先は、実は自分自身だったのです。