楽しいウイルスに込められた星野源の魅力とは?【星野源/Pop Virus】の歌詞の意味を徹底解釈
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
Pop Virusという曲名の意味を考察
Popとは多くの人々に受け入れやすいもののことをいいます。
また音楽の世界でいえば、ポップスやポピュラーソングといった表現にも使われます。たくさんの人が聴いて、軽快で盛り上がる曲のことです。
また、Virusとはカタカナ表記でいえばウイルスといいます。
ウイルスは自分以外の生き物の体に入って増えていく生命体です。インフルエンザウイルスが例に挙げられます。
一度体に侵入すると、どんどん他の生物にも感染していきます。
今回は、「Pop」という明るく、楽しい意味合いと響きのある言葉。「Virus」という感染すると厄介なものの対比がどのように関係していくのかについて、解釈をしていきます。
Pop Virusの歌詞の意味を徹底解釈
1番
音の中で 君を探してる
霧の中で 朽ち果てても彷徨う
闇の中で 君を愛してる
刻む 一拍の永遠を
君のことを音の中で探している
霧の中で朽ち果ててしまっても 彷徨いながら探す
君のことを何も見えなくても 愛している
永遠を感じさせるような 一拍を刻む
ここでいう「音」とは、世の中にあふれかえり聞こえてくるもののことでしょう。音の中で探す「君」とは「音楽」を意味しています。それはあとのフレーズの「一拍」や「歌う」、「口から音が出る」からこの曲のイメージにつながります。
そして何も見えない霧の中でも音楽のことを探すのです。それは自分自身が朽ち果てる、つまり死んでしまうような状況であっても追い求めるという固い決意を表しています。
また霧の中よりも、より何も見えない闇の中にあっても音楽のことを強く愛しているのです。
「一拍」とは音楽用語でもありますが、心臓の鼓動を数える単位でもあります。それだけこの曲にとって「一拍」を「刻む」ことは目に見えないけれど非常に重要なことを意味しています。
そして「一拍の永遠」とは、一瞬ではあるけれど感じた人にとっては永遠だと思えるくらい大きなこと、大切なこと、尊いものを指しているのでしょう。
歌の中で 君を探してる
波の中で 笑いながら漂う
今の中で 君を愛してる
刻む 一拍の永遠を
刻む 一粒の永遠を
君のことを 歌の中で探してる
笑いながら 波の中で漂っている
今という一瞬の中でも 君のことを愛している
永遠を感じさせるような 一拍を刻む
永遠に感じるような 一粒の音を刻む
最初のフレーズとは違い「歌の中で」音楽を探しています。誰かのCDから聴こえる歌かもしれません。ライブハウスで聴いている歌かもしれないですし、自分が歌っている歌かもしれません。
「波の中で」「漂う」というのは音楽が人波、街中で流れていること。また音楽が旋律の中で流れていくことのどちらともとることができます。また、その漂っている音楽は楽しくてPOPに漂っているのです。
そこで「今の中で」というフレーズが出てきます。今というこの瞬間、音楽にノりにノって心地よい気分となり思わず「愛してる」という感情が出てきているのでしょう。
また「一拍の永遠」を刻みます。その上で「一粒の永遠」という歌詞が出てきます。音楽の旋律や街中にある音楽は無限ともとれるほど多彩です。ここではその無限に近い音楽を「一粒」という表現で圧縮しています。
どんなジャンルであっても音楽は音楽です。音楽というものには境がなく楽しめれば良いということを意味しているのです。
2番
ふざけた人間なんだ
偏る生活を歌舞いた
そう君の手の平
美しくクルクル返ったんだ
(自分は)人としてフザけているんだ
偏った性格で 常識外れなことをしていた
君の手のひらの上で
クルクルと踊っていた
「フザけた人間なんだ」とは自分自身のことを言っているのでしょう。偏った性格と聞くと、あまり世の中には受け入れられそうもないです。その上で常識外れなことをしています。
ですが自分の行動が常識から外れているとわかっていても、音楽にノッてしまう。「クルクル」と返るのは、音楽というものの中で楽しく踊っている状態を表しているのでしょう。
口から音が出る病気
心臓から花が咲くように
魔法はいつでも
歌う波に乗っていた
(思わず)口から出てしまう病
花が心臓から咲くように美しく
音楽は魔法のように いつでも
歌を歌えば 楽しくさせてくれた
口から出る病といえば、まさしく「ウイルス」です。また思わず口から出てしまうものとは「歌」のことともいえます。
「歌」がまるでハート(心臓)から花が咲くように美しく、POPに口から出てしまいます。
歌は口ずさみ、歌い始めれば楽しくなる魔法のようなものです。
そして口から出る病気であり魔法、つまり歌はいつでもリズムや旋律に乗って人々を楽しくさせてくれます。
このパートではこの楽曲の核心に触れます。多くの人が楽しい時、機嫌のよい時に思わず歌を口ずさむでしょう。そして一つの流行歌、つまりポップ・ミュージックを一人が歌えば周りも歌い出したり、楽しくなったり、盛り上がることでしょう。
まさしくウイルスの感染・伝染のようです。それがポップなウイルス「Pop Virus」という楽曲のタイトルにつながっていくのです。
始まりは 炎や
棒きれではなく 音楽だった
(人類の)始まりは 炎を扱えるようになった時ではなく
棒きれを使えるようになった日ではなく
音を楽しむようになってからだった
人類の誕生は道具を使えるようになった時から、炎を自由に扱えるようになってからだと様々な話があります。ですがそういったものを扱えるようになる前、ずっと昔に人類は始まっていたのです。
それは音を楽しむようになったころ。「音楽」を知った瞬間です。現代でも音楽は重要な文化であって、どんな地域でも国境も関係なく楽しめます。
大昔からずっと続いていて、消えることが決してなかったものが「音楽」だと知ったのなら「心臓から花が咲くように」歌舞いてしまうことも無理はないでしょう。
音の中で 君を探してる
霧の中で 朽ち果てても彷徨う
闇の中で 君を愛してる
刻む 一拍の永遠を
一度解釈したので割愛します
歌の中で 君を探してる
波の中で 笑いながら漂う
今の中で 君を愛してる
刻む 一拍の永遠を
渡す 一粒の永遠を
一度解釈したので割愛します
まとめ
解釈をしていて改めて思いましたが、星野源という人物の表現力はすごいに限ります。創る歌詞は素朴であったり、気分が跳ねるようなポップ・ミュージックであったり、人間の暗い部分を歌ったりと幅が広いです。
なぜこれほどまで星野源の曲が多くの人の魂を揺さぶるのでしょうか。それは、リスナーが星野源の楽曲に共感を強く抱くからでしょう。
気分の落ち込み、楽しみ、怒りどこをとっても必ずどれかのアルバムにその部分は収録されています。
ぜひ一度アルバム「POP VIRUS」を最後まで聴いてみてほしいです。一から星野源のアルバムを聴いてみると、きっとあなたもその世界観に「感染」するでしょう。