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【kemu/六兆年と一夜物語】の歌詞の意味を徹底解釈 | kemu voxxの過去の世界観に注目!

編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19

目次
六兆年と一夜物語という曲名の意味を考察
六兆年と一夜物語の歌詞の意味を徹底解釈
1番
2番

六兆年と一夜物語という曲名の意味を考察

『六兆年と一夜物語』という曲名はどういう意味なのでしょうか。

一般的に、兆の位以上に達した数は天文学的数字と言われています。ですから「六兆年」というのが非常に長い時間を表しているのがわかります。しかし、なぜ「六兆」なのでしょうか?

この『六兆年と一夜物語』という曲はkemu voxxの楽曲シリーズの中の1つであり、kemu voxxの他の曲と世界観を共有しています。

しかし、世界観は共有しているのですが、この曲だけ舞台が現在ではなく過去、あるいは過去を回顧したものになっています。
また、同じくkemu voxxシリーズの『人生リセットボタン』で「六兆五千三百十二万四千七百1十年の 果て果てに飛び込んだんだ」という歌詞があります。ここでも「六兆」が出てくるんです。

これらのことから、時間軸が他の曲と違っても同じ世界観を共有する曲であることを示すために「六兆年」となっているのだと思います。

「六兆」あるいは「六」の数字に、kemuさんは何か思い入れがあるのかもしれませんが、そこはkemuさんにしかわかりません。

また、『六兆年と一夜物語』は『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』を彷彿とさせる曲名ですが、内容的に両者に関係はないと思われます。

「一夜物語」の部分が共通しているため関連性があるように思うかもしれませんが、登場人物もストーリーも違うので関連はないでしょう。


六兆年と一夜物語の歌詞の意味を徹底解釈

1番

名も無い時代の集落の 名も無い幼い少年の
誰も知らない おとぎばなし
産まれついた時から 忌み子鬼の子として
その身に余る 罰を受けた
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈この話は名もない時代の集落にいた名もない幼い少年(=僕)の誰も知らないおとぎばなし(=人生)
産まれついた時から少年(=僕)は忌み子鬼の子としてその身に余る罰を受けた

冒頭部分で今から何を歌う(語る)のかが明示されます。「少年」は主人公の「僕」のことで、「僕」自身が人生を回顧して歌っていると考えて良いでしょう。

『六兆年と一夜物語』は小説があるようで、ニコニコ百科事典を見てみると、どつやらこの名前のない少年は、のちに出てくる女の子に「リク」という名前をもらいます。また、小説内ではリクが多指症であることが明かされているようです。また、PVを見る限り色素が薄いのでアルビノの可能性もあります。

多指症もアルビノも周りとは違う容姿であるため、忌み子、鬼の子として迫害されたのでしょう。忌み子、鬼の子と言われていますが、少年が何か怪物である可能性は低いと思います。


悲しいことは何も無いけど
夕焼け小焼け 手を引かれてさ
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈少年(=僕)はそれを悲しいとも何も思わないけど
夕焼け小焼けと手を引かれてさ

迫害されることすら悲しいと思わない少年は、きっと何もかもを諦めているのでしょう。

ここで「夕焼け小焼け」と出てきますが、これはおそらく童謡の『夕焼け小焼け』ではないかと思います。そこで「おててつないで みなかえろ」という歌詞があるのでPVでも誰かと手を繋いでいる描写があります。あれは少年の幻想なのか、それとも本当に手を引かれたことがあるのかはわかりません。


知らない知らない 僕は何も知らない
叱られた後のやさしさも
雨上がりの手の温もりも
でも本当は本当は本当は本当に寒いんだ
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈知らない知らない 僕は何も知らないんだ
誰かに叱られた後のやさしさも
誰かの雨上がりの手の温もりも
でも本当は、本当に人肌が恋しくて寒いんだ

知らない、何も知らないんだ、と少年は言います。叱られた後の優しさ、雨上がりの手の温もり、どれも人と関わってこそのものを何一つ知らない少年は、人との繋がりを切望します。生まれたばかりの時には包まれていたであろう人の体温を望んでいるのです。


死なない死なない 僕は何で死なない?
夢のひとつも見れないくせに
誰も知らないおとぎばなしは
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈死なない死なない 僕は何で死なない?
人が見るような夢のひとつも見ることができないのに
誰も知らない少年(=僕)のおとぎばなし(=人生)は
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった

死なない、なんで僕は死なないんだろう、と少年は不思議に思います。他の人と同じようにこの世界に夢を見ることもできないのに、あるいは、毎日罰を受けすぎて疲れて泥のように眠り睡眠中の夢など見たこともないのに、なぜ自分は今日も生きているのだろう、と自問自答しているのです。

また、夕焼けには切ない、儚いといったイメージや、終わりのイメージがあります。孤独な少年の人生・生活は、誰にも知られないで夕焼けの中に吸い込まれていく、切なくも儚くも終わってしまうということです。


2番

吐き出すような暴力と 蔑んだ目の毎日に
君はいつしかそこに立ってた
話しかけちゃだめなのに
「君の名前が知りたいな」
ごめんね名前も舌も無いんだ
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈人々からの吐き出すような暴力と蔑んだ目の毎日に
君はいつしかそこに立ってたんだ
僕に話しかけちゃだめなのに
君は「君の名前が知りたいな」なんて話しかけて
ごめんね、僕には名前も舌も無いんだ

人々から吐き出されるように暴力が振るわれ、蔑んだ目を向けられる少年の日々に変化が訪れます。

いつのまにか、同じくらいの年頃の少女が立っていたのです。

少女(小説ではアイという名前です)は少年に「君の名前が知りたいな」と話しかけます。少女も色素が薄く、少年と似たような身なりをしているので、同じような年齢で同じような境遇にいるのでしょう。

少年に興味を持ったのも無理はありません。しかし、少年は名前も付けられず舌もないので、その問いに答えることはできません。


僕の居場所は 何処にも無いのに
「一緒に帰ろう」
手を引かれてさ
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈僕の居場所は何処にも無いのに
君は「一緒に帰ろう」 って
僕は君に手を引かれてさ

僕の居場所はどこにもない、そう思っている少年に少女は「一緒に帰ろう」と言って少年の手を引きます。

この少女にも帰るところがあるのかは不明ですから、もしかしたら「一緒に夜を明かそう」とか「一緒に大人から隠れよう」という意味なのかもしれません。


知らない知らない 僕は何も知らない
君はもう子供じゃないことも
慣れない他人の手の温もりは
ただ本当に本当に本当に本当のことなんだ
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈知らない知らない 僕は何も知らない
本当は君がもう子供じゃないってことも
でも、慣れない他人の手の温もりは
ただ本当に、本当のことなんだ

知らない、僕は何も知らないと少年は言います。

少女が「もう子供じゃない」ということは、前の段からやや時間軸が進んでいるのでしょうか。それでも、隣にいる少女の手の温もり、人の手の温もりは間違いなく本物でした。


やめないやめない 君は何でやめない?
見つかれば殺されちゃうくせに
雨上がりに忌み子が二人
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈やめないやめない 君は何で僕と仲良くするのをやめない?
見つかれば君も殺されちゃうくせに
雨上がりに2人の忌み子が夕焼けの中に吸い込まれて消えてった

なぜ少女は自分と仲良くすることをやめないのだろうか、と少年は不思議に思います、少女だって見つかれば人間に殺されてしまうというのに。自分といたら目立って見つかってしまう可能性が高いのに、自分と仲良くし続ける少女を少年は不思議に思っているのです。

雨上がりの夕焼け空に忌み子の少年と少女は吸い込まれていきました。この後の歌詞の後に「日が暮れて 夜が明けて」という歌詞があるので、ここでの「夕焼けに吸い込まれて消えてった」というのは日が落ちるのと同時に少年と少女が世間から身を隠した、と解釈することもできます。

日が暮れて 夜が明けて 遊び疲れて 捕まって
こんな世界僕と君以外
皆いなくなればいいのにな
皆いなくなればいいのにな
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈日が暮れて 夜が明けて 遊び疲れて また人々に捕まって
こんな世界、僕と君以外
皆いなくなればいいのにな
皆いなくなればいいのにな

日が暮れて夜が明けて、一緒に遊んで疲れて、そして最後に人々に捕まって……楽しい1日の最後に人々に捕まってしまった少年は望みます。

この世界に自分と少女しかいなければいいのに。周りの人間は、人類は消えてしまえばいいのに、と。この願いに次の段の歌詞でkemuさんのシリーズに共通して出てくる神様が答えます。


知らない知らない声が聞こえてさ
僕と君以外の全人類
抗う間もなく手を引かれてさ
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈知らない知らない声が聞こえてさ
僕と君以外の全人類は抗う間もなく手を引かれて、夕焼けの中に吸い込まれて消えてった

知らない声、これはきっと神様の声でしょう。少年の願い通り、少年と少女以外の全人類を夕焼けの中に吸い込んだのです。

ここでの「夕焼けの中に吸い込まれて消えてった」は文字通り消えたと考えて良いでしょう。


知らない知らない 僕は何も知らない
これからのことも君の名も
今は今はこれでいいんだと
ただ本当に本当に本当に本当に思うんだ
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈知らない知らない 僕は何も知らない
これからの先のことも、君の名も
でも、今はこれでいいんだと
ただ本当に思うんだ

これから先のことも少女の名前も知らない、何も知らないと少年は言います。

少女の名前も知らない、ということは少女に対して基本的な情報を何一つ知らないということでしょう。少女が小説内で名乗った名前は偽名なのでしょうか?少年に名前を与えていますから、もしかしたら少女が名乗った名前も自分でつけたものなのかもしれません。

先のことがわからなくても、少女のことを何も知らなくても、「それでいいんだ」と少年は思います。寄り添ってくれる人がいるだけで嬉しくて、幸せだったのでしょうね。


知らない知らない あの耳鳴りは
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
kemu voxx feat.IA -六兆年と一夜物語

解釈知らない知らない あの不思議な耳鳴りは
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった

少年は知らない、身に覚えのない耳鳴りが聞こえたのですが、その耳鳴りも夕焼けと共に消えてしまいました。

この時の夕焼けは人々を吸い込んだ夕焼けなのでしょうか。「耳鳴り」はこのシリーズ全般に出てくる「カミサマ」が主人公の願い叶えた、あるいは働きかけた印なのかもしれません。

他の曲でも耳鳴りに対する描写があります。耳鳴りが消えて、少年の願いは叶い少女と2人きりになったということでしょう。その先に関しては曲が終わってしまうのでわかりません。

kemu voxxによる曲は何曲にもわたって関連性があるため、解釈は難しいです。

特に、『六兆年と一夜物語』はひとつだけ時制が離れているので、独立した雰囲気を持ちます。しかし、他の曲との関係が細かなデティールの中に表されています。

kemu voxxの他の曲も聴いてみると、その関連がわかるでしょう。ぜひYouTubeやニコニコ動画などで他の曲も探してみてください!

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