【マカロニえんぴつ/ヤングアダルト】の歌詞の意味を徹底解釈 | 未来を担う若者を「リアル」に描いた歌詞がエモい!
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
ヤングアダルトってどんな曲?
「ヤングアダルト」は2019年9月11日に発売されたミニアルバムの一曲目。
若者の絶望をしっとりと、かつ情熱的に歌ったエモーショナルな一曲。横田光亮監督によるMVも公開されており、そのメッセージ性が話題となっています。
作詞作曲はギターボーカルを務めるはっとりさんが担当しており、MVではバンドメンバー全員が登場しています。MVのテーマは「無償の愛」であり、この曲も一曲を通して「愛」の存在感が大きいものとなっています。
ヤングアダルトという曲名の意味を考察
ヤングアダルトとは一般的に子どもと大人の間の世代のことをいいます。
この曲においては、何才から何才までが当てはまるかということは重要ではなく、「成長していく上で挫折を経験し、夢を見失った人々」を指していると思われます。
甘く暖かな子ども時代から旅立ち、社会という荒波に立ち向かう若者。
そして、その荒波に揉まれ摩耗してしまった若者。
そうしたリアルな「ヤングアダルト」がこの曲では描かれています。
曲のメッセージもまさにヤングアダルトに向けられた応援歌ともいえるものです。
もちろん、疾風怒濤の時代を過ぎた大人にも深く染みる曲となっています。
ヤングアダルトの歌詞の意味を徹底解釈
1番
夢を見失った若者たちは
希望を求めて文学を
はたまた汗まみれのスマートフォンを
握り締めて詩を書き溜める
ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもね、そんなもんなのかもしれない
僕らに足りないのはいつだって
アルコールじゃなくて愛情なんだけどな
夢を追い挫折した若者は、今日も本やスマートフォンに必死に握り自分の気持ちと向き合っている。
絶望が僕たちの前に訪れる。
こんなはずじゃなかった。
けれど、諦めて絶望を受け入れなければいけないのだろうか。
こうやってお酒に浸る日々は現実から目を背けるための無駄なものだってわかっている。
愛情に溢れる日々が必要だと、わかってはいるけれど。
このパートでは、若者の絶望を迎えた苦しい日々が描かれています。
夢がなかなか叶わない若者たちは絶望を受け入れるしかないのかと悟ってしまいます。
辛い現実を忘れるためにアルコールに逃げるような日々で、本当に足りていないのは愛であることを自嘲しています。
それでも、わかっていても、傷心した彼らにはそうするしかないのでした。
全てを捧げた大事な恋は
時間をかけて砂になった
いつかは、もしかしたらって
そのインターフォンに
シッポ振ることもなくなった
ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもさ、そんなもんなんだよきっと
誰も知らない優しい言葉で
あの子の孤独を殺せてたらな
一世一代の恋も儚く散ってしまった。
思いがけないタイミングで好きな人に会えるかもなんて期待することも今は無い。
絶望が僕たちの前に訪れる。
こういうものだと諦めて受け入れなければいけないのかもしれない。
こんな寂しい気持ちをしているのが僕だけじゃないのなら、その子には救いの言葉が必要だと思うんだ。
このパートでは失恋に傷ついた若者が描かれています。
大切な恋を失い絶望する彼らは、それを受け入れざるを得ません。
辛い現実で彼らが欲しているのは優しい言葉であると語っています。
ただ、ありふれた言葉ではありません。
誰も思いつかないような言葉でしか傷ついた心は癒せないと、その難しさを示唆しているのです。
夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が流れないように
無駄な話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探してる
辛い夜に耐えて明日も頑張れるような歌が、僕たちにはあるんだ。
そんな歌を決して忘れないために。
自分を傷つけるような真似をしないで済むために。
そのために、無駄だと思えることだって、アルコールだって、存在するんだ。
大丈夫、この必死にもがく僕たちは美しい。
明日もなんとか生きるために、愛を諦めない。
絶望に溢れた辛い日々を肯定する、熱のこもったサビです。
「手首から涙が溢れる」という表現はリストカットを彷彿させます。
大切な歌や大切な自分を見失わないためには、無駄と思えるような情けない日々も必要だ。
必死にもがき生き続ける若者のすべてを受け入れ背中を押す言葉たちです。
2番
ハロー、絶望
その足でちゃんと立ってるかい?
無理にデタラメにしなくてもいいんだぜ
僕らに足りないのはいつだって
才能じゃなくって愛情なんだけどな
絶望と向き合う人たちへ。
自分の足で、必死に踏ん張っているかい?
無理して足掻かなくても、そこにいるだけでいいんだ。
自分に無い才能ばかり求めてしまうけれど、本当に必要なのは見逃している愛だと思うんだ。
無理して絶望から抜け出そうと、自分に無い者を追い求めようとする若者。
そんな人々に「自分の足で立っているかが大切なこと」だと語りかけています。
そして、案外近くにある愛に目を向けることの大切さも説いているパートです。
夜を埋めるための唄が死なないように
欠伸ひとつで悲しみが流せるように
夢の話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探す
辛く苦しい夜を愛せるような歌を忘れないために。
悲しい気持ちにただ耐えるだけでいないために。
夢を忘れずに、飲み明かして語ろう。
そんな夜もいいじゃないか。
足掻き、明日も生きようとする僕たちは美しい。
絶望を受け入れ、夜を越えようとするパワーに溢れるサビです。
「夢の話をしよう」というフレーズから、挫折しても諦めない強い意地が垣間見れます。
世田谷ヤングルーザー
憂いの晩杯や、写真機の記憶
若くして敗北の味を知る人たちよ。
悲しい話ばかりしてお酒を飲んだこともある。
そうやって過ごした日々を、忘れずにいよう。
ここで「世田谷」という固有名詞を使う意味について考察します。
この曲は夢を追いかけ挫折した若者を歌ったもの。
つまり、東京で何かを成し遂げようと希望を持って上京した若者の憂いが連想できます。
そうしたストーリーが「世田谷」という東京の地名だけで描かれているように思えます。
夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が溢れないように
無駄な話をしよう 果てるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を集めてる
絶望の夜さえ乗り越えられるような大切な歌を忘れないように。
そんな歌がこれからも生まれ続けるように。
もう自分を傷つけることがないように。
そのために、無駄なように思える日々を愛そう。
満足いくまでアルコールに溺れたって良いんだ。
夢にもがく僕たちは美しい。
明日もなんとか生きられるように、ささやかな愛を逃さないでいよう。
ラストの大サビです。
絶望を乗り越えるためには、絶望を受け入れなければいけません。
夢みていた日々はまだ遠くても、そんな不細工な毎日を愛すること。
夢に足掻く情けない自分を愛すること。
そんな大切さを歌った、情熱溢れる一曲です。
まとめ
守られていた子ども時代から抜け出し、勇敢に夢を追うヤングアダルト。
しかし、夢を追った先には必ずしも成功が約束されているわけではありません。
失敗、失恋、挫折、絶望。
こんなはずじゃなかった、思い通りにならない苦しい日々は誰しもが経験します。
そんな夜を抱きしめ、背中を押すような曲がこの「ヤングアダルト」です。
この曲では不甲斐ない日々や惨めな自分を愛し夢を忘れないことの大切さが歌われています。
ポップな曲調が目立ち明るい印象も大きいマカロニえんぴつですが、実は誰よりも真摯にリスナーの心に向き合った情熱的なバンドです。
この曲はそんなマカロニえんぴつの限りなく優しく、限りなく強いパワーを秘めた一曲でしたね。