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死への誘惑や欲望は物語にどう作用するのか【YOASOBI/夜に駆ける】の歌詞の意味を徹底解釈

編集: ひいらぎ 最終更新:
目次

夜に駆けるという曲名の意味を考察

monogatary.comに投稿された星野舞夜さんの小説「タナトスの誘惑」を元に制作された楽曲です。

その小説の最後は「夜空に向かって駆け出した。」で締めくくられており、その部分が曲名として引用されています。

「タナトス」とはギリシャ神話に登場する死神で、死への誘惑や欲望を指す言葉としても用いられています。本作は自殺願望のある彼女を持つ男性の視点で物語は進んでいき、最終的に男女ともにビルの屋上から飛び降りてしまいます。

本楽曲で「夜に駆ける」とは、飛び降りることの比喩として用いられているのでしょう。


夜に駆けるの歌詞の意味を徹底解釈

1番

沈むように溶けてゆくように
二人だけの空が広がる夜に

「さよなら」だけだった
その一言で全てが分かった
日が沈み出した空と君の姿
フェンス越しに重なっていた
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

夜の闇が空を覆い始めている様は、海の底に沈んでいくようでもあり、その中へ自分自身が溶けていくようでもある。

「さよなら」というメールが送られてきただけで何が起こっているのか全て理解した。
君はビルの屋上のフェンスの向こうで沈みそうな太陽を背に今にも飛び降りようとしていた。

夜が広がり、沈み始める日を見ていることから日の入り、即ち夕方ごろの出来事であることがわかります。

男性は「さよなら」とだけ書かれたメールを受け取りました。

彼女には自殺願望があることを知っているために、それを止めるために現場に駆け付けたところ、今まさに屋上のフェンスを越えて飛び降りようとする彼女の姿がありました。


初めて会った日から
僕の心の全てを奪った
どこか儚い空気を纏う君は
寂しい目をしてたんだ
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

初めて会った日に僕は君のことを好きになった。
一目惚れしてしまうくらいに美しいけど、何処か儚い空気を纏いながら寂しい目をしていた。

男性は彼女に一目惚れしてしまい、交際を始めます。

しかし彼女の目はいつもどこか寂しげで、儚い空気を纏っています。

「儚い」という言葉は「確かなところがない。淡く消えやすい」という意味があります。彼女は今にもふとした瞬間に消えてしまいそうな、そんな雰囲気を常に纏っているようです。


いつだってチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
触れる心無い言葉うるさい声に
涙が零れそうでも
ありきたりな喜びきっと二人なら見つけられる
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

いつも慌ただしく動いていく世界では心無い言葉が常に飛び交っている。
そんな言葉に触れて涙が零れそうでも、二人でならきっと喜びを見つけながら生きていける。

世間では心無い言葉が飛び交い、彼女はそれに触れるたびに傷ついてしまう繊細な心の持ち主の様です。

しかし男性が彼女に、二人でなら生きていけると前向きな言葉で励ましています。


騒がしい日々に笑えない君に
思い付く限り眩しい明日を
明けない夜に落ちてゆく前に
僕の手を掴んでほら
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も
抱きしめた温もりで溶かすから
怖くないよいつか日が昇るまで
二人でいよう
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

毎日が騒がしいけどそれについていけなくて笑うことも出来ない君だけど、僕が思いつく限りの楽しい日々を一緒に過ごさせてあげる。
真っ暗な夜の闇の底に落ちていく前に、僕の手をつかんで。
忘れてしまいたい過去や、思い出したくないような日々のことも僕が抱きしめてその体温で溶かしてあげる。
僕と一緒なら怖くないから、日が昇るその日まで一緒にいよう。

男性が彼女を励まします。

彼女は自殺願望があり、何かあるとネガティブになってしまうような性格の様です。でも僕が一緒にいることで楽しい日々にしてあげるからと一生懸命彼女を励まします。

今まさに飛び降りようとしている彼女が目の前にいるという状況なので、彼女を守りたい、なんとかこっちに戻ってきてくれと呼びかけます。



2番

君にしか見えない
何かを見つめる君が嫌いだ
見惚れているかのような恋するような
そんな顔が嫌いだ
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

君しか見えない「死神」という存在を見つめているときの君が嫌いだ。
彼女を連れ去ろうとする「死神」が嫌いなのではなく、その「死神」に恋をしているような顔をしている君が嫌いだ。

原作小説でも語られていますが、彼女には「死神」の存在が見えているようです。

死に憧れを抱いてしまう人は少なくないようですが、彼女もその一人であり、まさに「死神」に恋をしている様に見えます。

そして男性は、彼女がそんな自分以外のものに恋をしている様な目を向けていることに嫉妬しています。


信じていたいけど信じれないこと
そんなのどうしたってきっと
これからだっていくつもあって
そのたんび怒って泣いていくの
それでもきっといつかはきっと僕らはきっと
分かり合えるさ信じてるよ
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

ずっとこの先も信じていたいけど、信じることが出来ないことはこれからいくらでもあるだろう。
それでも怒ったり泣いたりしながら一つずつ乗り越えていくことで、いつか分かりあえるということを信じているよ。

男性からすれば「死神」という存在にいつ彼女が連れ去られてしまうか毎日とても不安です。

愛の形はそれぞれとは言え、この様な状況ではいつか男性の方が疲れてしまいそうなものです。

それでもいつか彼女はいつか前を向いて、そして僕と向き合って生きてくれるようになると信じて、何度でもぶつかり合おうと言います。


もう嫌だって疲れたんだって
がむしゃらに差し伸べた僕の手を振り払う君
もう嫌だって疲れたよなんて
本当は僕も言いたいんだ
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

「もう嫌だ」「疲れた」と言いながら、差し伸べた僕の手を振りほどいてしまう。
「もう嫌だ」「疲れた」なんて言いたいのは本当は僕の方だ。

必死の説得むなしく、差し伸べた手を振りほどかれてしまいます。

これまで気丈に前向きな言葉で彼女を励ましていた男性ですが、とうとう「弱音を吐きたいのはこっちの方だ」と言う気持ちが出てきてしまいます。


ほらまたチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
君の為に用意した言葉どれも届かない
「終わりにしたい」だなんてさ
釣られて言葉にした時
君は初めて笑った
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

慌ただしく動いていく世界で何度でも君のために前向きな言葉を伝えてきたけど、どれも届かなかった。
君の言葉に釣られて「終わりにしたい」と口走ってしまったとき、君は初めて笑ってくれた。

男性は慌ただしい日常生活の中でも彼女のことを考え、様々な言葉を用意して何度も気持ちをぶつけてきました。

しかしどれも彼女に届くことはことはありませんでした。

とうとう男性は疲れてしまい、彼女に釣られて「終わりにしたい」という言葉が口をついて出てしまいます。

すると、それまで笑うことのなかった彼女が笑ってくれたのです。


騒がしい日々に笑えなくなっていた
僕の目に映る君は綺麗だ
明けない夜に溢れた涙も
君の笑顔に溶けていく
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

毎日疲れて僕自身笑えなくなってしまっていたけど、それでも僕の目の前で笑っている君はとても綺麗だ。
思い悩んで流していた涙も、君の笑顔の前では癒されてしまう。

これまで彼女とぶつかることに疲れてしまっていた男性ですが、初めて笑ってくれた彼女の綺麗さに見とれてしまい、これまでの苦労が全て報われた気持ちになっていきます。


変わらない日々に泣いていた僕を
君は優しく終わりへと誘う
沈むように溶けてゆくように
染み付いた霧が晴れる
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々に
差し伸べてくれた君の手を取る
涼しい風が空を泳ぐように今吹き抜けていく
繋いだ手を離さないでよ
二人今、夜に駆け出していく
YOASOBI -夜に駆ける
解釈

何をしても変わり映えも泣く毎日振り回されては泣いていた僕を、君は僕を終わりへと誘う。
それでも僕の心は霧が晴れていくようで、差し伸べてくれた君の手を取った。
ビルの屋上、吹き荒ぶ風の中に二人でしっかりと手を繋ぎ、夜を駆けるようにその身を投げた。

とうとう最後にはこれまで彼女を励まして来た男性が、彼女に手を差し伸べられて二人で一緒に身を投げてしまいます。

男性にとっての「死神」は彼女であり、これまで彼女が求めていたものは助けてもらうことではなく、男性を連れて行くことなのでした。


まとめ

小説を原案に制作された楽曲ということで、物語としても詩としても美しい描写や人間のドラマが盛り込まれています。

よりYOASOBIの世界を知るためにも、原作小説も併せて読むことをお勧めします。