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【星野源/さらしもの】の歌詞の意味を徹底解釈 | 晒された人間は本当に一人ぼっちなのか?

編集: ひいらぎ 最終更新:
目次

さらしもの (feat. PUNPEE)という曲名の意味を考察

かつて江戸時代には「さらしの刑」に処するという言葉があり、犯罪者への罰則の一つでした。「晒(さらし)」とは罪人がその社会的地位を奪うために多くの人が見える場所にさらすという刑のことをいいます。

また「さらしもの」という言葉は、多くの人の前で恥をさらされる人のことをいう言葉でもあります。

現代では「ネット晒し」という言葉もあり、個人情報といった人に見られたくないものをネット上でさらされる悪質な事案を聞いたことがある人もいるでしょう。このように「さらしもの」とはマイナスのイメージが付きまとうのです。

今回はこの曲を読み解くうえで重要となる「さらしもの」となった人物の孤独、悲しみに注目していきたいと思います。星野源が『さらしもの』というマイナスイメージの言葉を、自らを揶揄する言葉として使っていると考え解釈をします。

またそのさらしものとなった星野源がどのような生き方を見出し、そこで共作しているPUNPEEが彼の世界観にどのような影響を与えたのかについて解釈を深める。そのうえでさらしものとなっている人は本当に一人ぼっちなのか、それとも違うのかについて解釈をしていきます。


さらしもの (feat. PUNPEE)の歌詞の意味を徹底解釈

1番

生まれて独りステージに立って
フィナーレまでは残り何公演
人差し指の隣の指はまだ仕舞っておいて
また後世
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

一人ぼっちでステージの上にいるけれど
あと何回公演をすれば終わるのだろうか
中指を立てたい日もあるけれど それは出来ないから
生まれ変わったらしてみよう

ここではステージに立って独り表現をする人物の苦悩がえがかれています。一人でなんとかステージに立ったのはいいものの、この公演が終わるのはあと何回かと思わず考えてしまっています。

『人差し指の隣の指』ですが次に続くフレーズのまだ仕舞っておく、その後の後世という言葉から中指だといえるでしょう。生きていく上で他人や自分に親指を立てグッドということは前向きな表現で仕舞っておく必要はないからです。

自己主張することが簡単に許されるのなら、嫌なことがあった日は中指を立ててみたい。ですがそれは許されることではありません。自分の人生が終わるまでは中指を立てたくても立てることはないという意思表示であるといえます。


この輝きは僕のじゃなくて
世の光映してるだけで
身の丈じゃないプライドは君にあげる受け取って
捨てといて
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

(自分が)脚光を浴びてるんじゃない
人々の理想や願望を自分が言っているだけ
自分に似合わないプライドは
誰かにいっそあげるから 捨ててほしい

『この輝きは僕のじゃなくて世の光』ということは、ステージに立つ人は脚光を浴びているようにみえるけれど、ただスター像を皆にみせているだけといえます。つまり多くの人の憧れを代弁しているに過ぎないという意味合いです。

『身の丈じゃないプライド』とは、自分にはふさわしくない大きなプライドと言えます。『君にあげる受け取って 捨てといて』という詞からはそんなプライドなんて誰かにいっそ渡してしまい、どこかに捨ててほしいという願望が込められていると言えるでしょう。


滑稽なさらしものの歌
あたりみりゃ 一面のエキストラ
だけど君のその世界じゃ
僕も雇われたエキストラだっけ
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

ばかげた笑い者の歌を歌って
周りを見ると みんな自分の人生のエキストラに見える
でもそのエキストラにとっては
僕はお金をもらって歌を聴いてもらってる脇役か

『滑稽なさらしものの歌』とは、ばかばかしい笑いものにされる人の歌という意味です。独りでステージに立ち、自分の思いや感情を大勢の前で歌うのだから恥ずかしくなる心情が伝わります。

それでいてステージに立つと『一面のエキストラ』、自分が一番目立つ存在で唯一無二であると思うでしょう。まさしく周りがエキストラで主人公は自分と感じるのです。

それでも人は皆、自分が主人公の人生を歩んでいます。そう考えるとお金を払ってステージをみにきている、たくさんの人生の主人公にとってはステージに立つ『僕も雇われたエキストラ』といえるわけです。


イヤモニで閉じこもって
また自分のせい(・・)って気づいてる
でもそこにすら君はいた
もしかすると孤独は一人ではないって…
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

イヤモニ(自分の殻)に閉じこもり
また自分が悪いんだと思い始めた
だけど気づくと君の存在に気付く
孤独なのは自分だけじゃないんだと

言い切れる

そこで『イヤモニに閉じこもって』孤独を感じます。イヤモニから聴こえてくる自分の声だけを聴いて、『また自分のせい』と自虐的な独りぼっちの世界に閉じこもります。

『でもそこにすら君はいた』という歌詞。ここで重要になることは、「PUNPEE」という人の存在です。この曲は「PUNPEE」というラップミュージシャンとの共作です。同じように人生に対して孤独を感じているだろう人物の声がイヤモニから聴こえてくるのです。

そこで一人ではないということが『いえる!』という確信へと詞につながります。


Starting off with you and I
さらしものだけの 愛があるだろう
まだ変わらない 怠けた朝が
歩みを照らしだすまま
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

二人で出発しよう
笑われる人間だけが 大切にする愛があるのでは
まだ変わっていないけれど けだるい朝が
これから歩く道を導いてくれるだろう

『Starting off with you and I』とは、君と僕で出発しよう!という意味です。一人ではなく二人で何かをしようと孤独を追い払う決意でしょう。

どんなに誰かに笑われる存在だったとしても、自分達にとってゆずれない大切なものがある。それが、『さらしものだけの愛』といえます。

ですが出発しようと意気込んでも、物事は簡単に変えることは出来ません。一度決めたことをしようと思い、そのことが出来ない時自分は怠けてしまっている。そう思うことは無理もないです。それは『まだ変わらない 怠けた朝』につながります。

結局、まだ何かを変えることは出来ず朝の光が『照らしだすまま』に一日が始まるのです。



2番

さらしものだよばかのうた
語りき埼玉のツァラトゥストラ
ぼっちの足元の先は
ほぼほぼ 道すらなかった
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

これは笑われる人が歌うばかのうただよ
埼玉出身のツァラトゥストラは語るのさ
一人ぼっちの人の一歩先には
ほとんど道なんてなかったんだ

『ばかのうた』というフレーズが出てきます。ばかのうたとは星野源が作った初期の曲です。また『埼玉のツァラトゥストラ』という表現、星野源の出身地は埼玉です。このことからこの曲は星野源という人物にスポットライトが当たっていることが明確になります。

ツァラトゥストラとは哲学者ニーチェが書いた本の主人公です。自分の考えを世の中に伝えようとするも孤独になってしまう人物です。ツァラトゥストラである以上自分のメッセージを伝えようとしますが孤独になってしまいます。

また「ぼっち」とは一人ぼっちの意味を指しますがぼっちが進んでいる道、つまり理解者のいない『ぼっちの足元の先』の未来を導いてくれる人はいません。ということは自分自身の道を一人で開拓していくしかなかったのです。


ふと振り返ると ぞろぞろと
後ろつけ楽そう有象無象
はてな別の方 道のない進む小僧
凡人の黒ぶち 偉大な暇人
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

思わず振り返ってみれば たくさん
楽そうについてくる人々がいる
気づくと別の場所に 道なき道を進んでいる人がいる
その辺にいるような黒ぶちメガネの人 すごい人なんだけれど暇そうな人でもある

『ふと振り返ると ぞろぞろ』と『有象無象』、数が多いだけの人がいます。自分の意見や意志もなく、自分の後ろをただ迷うことなくついてくる人がいるという意味です。意志がなく誰かの後をついて歩くことは非常に『楽そう』なことではないでしょうか。

ですが『はてな別の方』を自分とは違う道のない道を進む人がいます。それは『黒ぶち』の人、連想できるのは黒ぶちメガネの人です。共作している「PUNPEE」は黒ぶちメガネをかけた絵にかいたような「一般人」の風貌をしています。そして彼も我が道を進み続けるラッパーです。

別の道を歩いてはいるけれど、自分に似て道のない道を歩いている人が見えたというべきです。


あらお悩みですか
君だってそうじゃん
同じムジナ
交わりだした
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

(二人が出会い)なにか悩みでもあるのですか?
君だって悩みがあるだろう?
二人は似た者同士
分かり合いはじめた

別の道を歩いてきた二人は出会います。『あらお悩みですか』『君だってそうじゃん』この二行には「悩みがあるの?」「君にも悩みがあるでしょ」といった表現がされています。

そこで『同じムジナ』、実は似た者同士だった二人は交わる。つまり意気投合します。


「なんてことない」なんてことない!…けど
形のない何かで交われる
君の体をWi-Fiが通り抜け 道草で腹を満たす
またその場所に君はいた
もしかすると孤独は一人ではないって…
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

不思議なことではないけれど
形がないもので分かり合える
君(違う道を歩く人々)の体を形がないネット媒体が通り 気分を満足させる
また君は孤独な世界にいた
孤独なのは一人ではないと

みえるんだ

『なんてことない』ことで人は交われる。それは直接会話をすること、電話をすること、音楽などで表現することつまり形のないことで人はわかりあえるというのです。

意識をしていないだけで、形のない方法で分かり合える人がいます。特に現代になってインターネットが普及して多くの人が自分の意見を発信することが出来るようになった。『君の体をWi-Fiが通り抜け』という言葉を使って表現しているのです。

スマホなどを使い『道草で腹を満たす』人。つまり孤独な時間をインターネットの世界で埋めている人はたくさんいます。そのインターネットの世界をのぞくと自分と似たような孤独な人を発見します。

そこではじめて、『もしかすると孤独は一人ではない』と気づいて、『みえる!』につながっていきます。


Starting off with you and I
さらしものだけの 夢があるだろう
まだ変わらない 怠けた朝が
歩みを照らしだす
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

二人で出発しよう
笑われる人間だけが 大切にする夢があるのでは
まだ変わっていないけれど けだるい朝が
これから歩く道を導いてくれる

また「君と僕で出発しよう!」と問いかけます。

笑われる存在であっても、大切な『夢』があるのです。

怠けた朝はまだ変わらないのですが、ここでは『歩みを照らしだすまま』ではなく『歩みを照らしだす』となっています。「照らし出すまま」のように流されているのではなく、強い口調で強い意志を感じます。


Starting off with you and I
さらしものだけの 愛があるだろう
まだ変わらない 怠けた朝が
歩みを照らしだすまま
星野源(feat.PUNPEE) -さらしもの
解釈

一度解釈したので割愛します。



まとめ

 この歌詞を解釈してみての感想は、スターはスターなりの孤独。そして創作者としての孤独。またどんな人も孤独なのだというメッセージ性を感じることが出来たということです。

スターという存在はある日突然なるのでしょうか?それは違うでしょう。

何かしらの活動をして、ファンが現れその存在に支えられながらも、よりファンの期待に応えなければなりません。それがスターの孤独。輝く舞台の裏でどれだけの努力をしているか、私たちには見えません。

それが創作者の孤独。また頑張っているのは自分一人ではなく、周りを見渡してみればどんな人でも頑張って、孤独を抱えていること。そのことの何たる重要なことでしょう。

「人生は一人ぼっちだ」と思うと辛く寂しくなりますが、一人でも理解者がいると思えば心強く思えます。そのことに気付かせてくれる歌であり歌詞でした。長い期間ファンである星野源というシンガーソングライターが、別の道を歩むヒップホップのミュージシャンと世界観を融合した瞬間に立ち会えることが出来、幸せに思っています。