【Official髭男dism/Rowan】の歌詞の意味を徹底解釈 | 主人公の行き場のない寂しさが滲み出てくる
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
Rowanという曲名の意味を考察
Rowanにはどんな意味が込められているのでしょうか。
Rowan(ローワン)とは別名ナナカマドという、花の名前です。その花言葉は、「慎重」「賢明」「私はあなたを見守る」。
歌詞を見ていくとわかるのですが、この曲の中の主人公は、過去の恋愛を思い出し、切ない想いを綴っています。花言葉の「慎重」「賢明」「あなたを見守る」という、穏やかに聞こえるその言葉は、しっくりきませんでした。
これはきっと、見守っていくという決意などではなく、「どうすることも出来ない、見守ることしかできないんだ」という行き場のない寂しさを表現しているのだと思いました。
そしてこの未練を、Rowanの花のように、綺麗な思い出にしたいという、主人公の切ない気持ちがあるのでしょう。
Rowanの歌詞の意味を徹底解釈
1番
埃かぶってしまった 思い出に縋りついて
僕の中に君を創り上げた
退屈を飼い慣らした 色のないこの街で
誰でもない誰かになりたかった
忘れたと思ってたのに、やっぱり今でも君が好きだった。
あの頃の君しか知らないから、数年経った今の君を想像した。
飽き飽きした毎日の中、街を歩きながら、何もかも捨てて、誰も僕のことを知らない場所に行ってしまいたい気分だ。
「埃かぶった思い出」とはどんな思い出でしょうか。
忘れられない思い出、という表現ではなく、それは埃かぶってしまっている。
忘れられ、埃まみれで棚の奥に眠っているような思い出が出てきて、一気にその頃の気持ちが蘇っているのではないでしょうか。でもそれは埃かぶるほど古い思い出。今でも好きだと思う相手は昔の記憶のままで、今どんな姿かはわからない。それを想像することで、「君を創り上げた」といっているのではないでしょうか。
でもそれは絶対に戻れない過去のこと。それがとても虚しく感じ、どこか遠い所へ行ってしまいたい、何もかもどうでもいいみたいな気分になっているのかなと思いました。
見上げた空の狭さにも慣れた
今では僕だけが立ち止まって
馬鹿げたこと言うなよって笑ってくれよ
「君だけがいてくれればよかった」
君はきっと前に進んで人生を歩んでいるだろうけど、
僕は何も変わってない。進めていない。
何考えてんだよって誰か笑い飛ばしてほしい。
君がいればそれだけで幸せだったのに。
「創り上げた君」を想像しながら、今の寂しさを嘆く主人公。
立ち止まった場所の景色にも見慣れてしまうほど、時が経っているのに、自分は止まったままで、前に進めていない。
「君だけがいてくれればよかった」。この言葉は、裏を返せば、「君がいないからずっと空っぽなんだ」ということに、主人公が気づいたということではないでしょうか。
彼女と別れてからは、忘れたように自分の人生を生きてきたけれど、心の中はいつも寂しい。空っぽのような、一人ぼっちのような気分で、そんな気分にすら慣れてしまっているのだと思います。
分かりあってるつもりになって
いつの間にかすれ違って
だけど僕ら何処へも行けなくて
思いあってるつもりになって
いつの間にか傷つけあって
痛みだけでも君に残したかった
同じ場所に進んでいると思っていたら、全然違う場所だった。
だけどどの道にもゴールは無かった。
違う人間だから、分かり合えないのは自然なことなのに、決めつけて傷つけてしまった。
そんな傷の痛みでも、僕を思い出すことがあるならそれでもいい。
分かり合っている「つもり」、思いあっている「つもり」。僕たちは付き合っているんだから、大丈夫、という油断とも言えると思います。
そんな油断をしているうちに、二人の気持ちはどんどんすれ違い、分かり合えなくてぶつかり合う。
それを主人公は悔やんでいるけど、その時の傷の痛みすら彼女の中に思い出として残っていてほしいと思っているのだと思います。
彼女のことを好きなのに、それがうまく伝えられず、喧嘩になって相手を傷つけてしまう。それもひとつの彼の愛情表現だったのかもしれません。
2番
淡い期待 あとどれくらい
苦い誓い 消えないまま
君に触れたい 誰も知らない
少しの後悔 抱きしめたまま
この未練はいつになったら無くなるのか。
君を幸せにするって誓えなかった悔しさ。
君は僕のものだったのに。
僕のこの気持ちは誰にも分からない、僕だけの思い出。
「淡い期待」とは、どうしてもまだよりを戻したいと考えてしまう未練のこと。
いつになったら綺麗な思い出になるのか。
「あとどれくらい」と言って、いつまでたっても立ち止まって、残る未練に苦しむ自分が嫌なのかもしれません。
「誓い」という歌詞から、幸せにするという「誓い」を連想しました。
別れる時に、それを誓える自信がなく、それを今悔やんでいて、苦い誓いと言っているのではないでしょうか。
そして、「君に触れいたい〜抱きしめたまま」の部分。
主人公は、この未練のやり場はどこにも無いと諦めていて、ずっと抱えていこうと思っているように見えます。
僕だけが知ってるあの頃の君、そして後悔や自分のこの切なさや虚しさは誰にもわからない。そんな寂しさをずっと抱きしめる。孤独な思いが伝わってきます。
形あるものを欲しがって 大事なこと見失って
正しさなんか ただのひとつだって
要らなかったはずなのに
飽きるほどに求めあって 理由もなく悲しくなって
気づいた時にはもう帰れなかった
本当に大事なものは、形のないもので、
常識は二人の関係に邪魔をするものばかりだった。
抱き合ってもなぜか虚しいだけで、
壊れた関係はもう元には戻せないものになっていた。
例えば「形あるもの」を「お金」。
「形あるもの」を「愛情」として考えてみます。
お金があれば彼女を楽しませてあげられる。それは立派な愛情だと思います。
でもそればかり集中すると、どうしてもついていけなくなってしまう感情があります。
人の感情は物では図れない。そんな当たり前のことも見失ってしまっていた。
「正しさ」の部分は「常識」のことだと解釈しました。
常識という世間からのしがらみがあって、それが二人の関係に、持たなくていい問題を抱えさせてしまったのかもしれません。
こんな風に、様々な事が二人をすれ違わせ、思い合っている「つもり」でいるうちに溝を深てしまったのでしょう。惰性で抱き合っても虚しさを感じるようになり、そうなっている頃には、もう元には戻せない(帰れない)状態なのです。
わかり合ってるつもりになって
いつの間にかすれ違って
だけど僕ら何処へも行けなくて
思い合ってる思いあってるつもりになって
いつの間にか傷つけあって
痛みだけでも君に残したかった
一度解釈したので割愛します
一度解釈したので割愛します
まとめ
すごく切なさを感じる歌詞ですが、暗くなりすぎないメロディーがやけに心地いいですよね。
過去の思い出に打ちひしがれて、あてもなく街を歩いている様子が、音で表現されていて、リズムよく流れる音が、この歌に共感した人たちの憂鬱さも一緒にさらっていってくれるような、そんな曲だと思いました。
誰でも過去の恋愛を思い出してしまうことがあると思いますが、こんな風に悔やんだり、未練があっても自分の中でうまく消化したり、切ない気持ちとうまく付き合っていくものなのだと思いました。
この曲の歌詞にはオチがないというか、最初から最後まで思い出に浸りっぱなしで終わるところが、またいいなと感じました。
今は色々忘れてこの思い出に浸っていたい、そんな時のためにあるような曲でしたね。