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【米津玄師/駄菓子屋商売】の歌詞の意味を徹底解釈

編集: ひいらぎ 最終更新:
目次

駄菓子屋商売という曲名の意味を考察

「駄菓子屋」は、以前はどこの街でも見かけられる、ありふれた「商売」でした。地域の子供たちには格好の遊び場で、店の前でおやつを食べたり買ったばかりのおもちゃで遊んだりする風景は日常的なものでした。

それがいつの間にか消えてしまったのは、コンビニが台頭してきたせいでしょうか、「駄菓子」以外の娯楽が溢れているせいでしょうか。

今では「駄菓子屋」はセピアカラーの光景の一つと化してしまいました。当たり前にあったのに、いつの間にか存在価値が失われ、記憶の中に留まるばかりとなってしまった光景です。時代が変わるのはごく自然なことですが、古い写真に懐かしさを感じる時、二度とは戻れない寂しさも禁じ得ないものです。


駄菓子屋商売の歌詞の意味を徹底解釈

1番

さあさ始まる新時代までの
声もなくなった幾千年
とうに廃れた知識なんてほら
全部全部全部置いて行け
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈さあ新時代が始まるぞ。
沈黙の旧時代が幾千年。
とっくに廃れた知識なんて
全てそこに置いて行け。

売り声を彷彿とさせる威勢のいい調子で歌が始まります。

「新時代」へと続く「声もなくなった幾千年」は旧時代、新たな幕開けまでの沈黙の期間です。時代から「声もなくな」ると言うことは、その時を生きていた人々が死に絶えていることを表していると考えられます。また、もはや語り草にすらなることはない、との意味に捉えることもできます。

時代が変われば文化習慣もテクノロジーも変わります。古いものは代替されたり意義を失ったりして、「廃れた知識」として旧時代に「置いて行」かれます。


顔も知らんようなそん所そこらの
もう腐って死ぬ古キャンディ
いつの間にやら朽ちてガタガタ
遂に落っこちたエレベーター
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈見たこともない古びたキャンディ、
昔はありふれたものだったのだろう。
いつの間にか壊れて
遂に崩落したエレベーター。

「キャンディ」は、なかなか「腐」るものではありません。「死ぬ」くらいともなると、よほどの年代物です。「顔も知らんような」は、見かけたことがないと読めますが、同時に「そん所そこら」にあるとも言及されています。

広く普及していたはずなのに見覚えがないのは、あまりにも普遍的で注目に値しなかったからだと解釈できます。それが「死」を直前にした今、主人公に認識されています。

「エレベーター」も「キャンディ」と同様、「朽ちて」「落っこち」るまで劣化を見過ごされていました。日常的に使われていれば崩壊する前に修理してもらえたはずですから、この「エレベーター」は役目を終えて久しいのでしょう。


イエイ もう三千年間このまんま!
這う這うで逃げ出して 愛なんかとっくに売れちまって
イエイ 進めショッピングカート僕を乗せ
今ならばお安いぜ 丁重にラッピング施して
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈もう三千年間このままだ。
皆這う這うの体で逃げ出した。愛なんてどこにも残っていない。
僕はショッピングカートに乗り込み進む。
今なら安いよ、丁寧なラッピング付き。

退廃的な雰囲気の中に浮かれた声が響きます。歌っているのは主人公、「声もなくなった」時代になぜか残っている存在です。

「もう三千年間このまんま!」は、あと三千年この状態が変わらない、あるいは、もう三千年もこの状態が続いてきた、どちらかの意味に取れますが、いずれにせよ見捨てられた時代のことですから、どう解釈しても大差はないように感じられます。

「這う這うで逃げ出して」しまったのは、かつて主人公と同じ場所にいた人々でしょう。変化していく時代に取り残されないように慌てて去って行ったのだと想像できます。人が息づいている間はそこにあったはずの「愛」も、彼らが持って行ってしまったようです。

独り旧時代に居残っている「僕」は、「ショッピングカート」に「乗」ってどこかへ「進」もうとしています。「今ならばお安いぜ」と売り文句を述べていることから、彼も「愛」と同じように誰かに買ってもらいたいと願っていることがわかります。

どうやら主人公は好きで旧時代に残っているわけではないようです。しかし、自ら移動することはなく、「三千年間」もの長きに渡って買い取ってくれる人を待っています。また、買う行為は価値を与えることですから、売れ残りの「僕」は無価値、必要とされない存在だと解釈でき、主人公は「廃れた知識」の一部であると推察できます。

自身に「丁重なラッピングを施して」安値で売り叩こうとしている様子を見ると、主人公は「新時代」でも活躍を望んでいるようですが、買い手の不在は期待がないことを表しています。朽ち果てた世界観にそぐわない興奮気味の歌声も、自暴自棄と捉えれば納得です。


2番

チューイングガム
大昔に賞味の期限が過ぎたけど
ブーイングコール
嫌になるほど御得な商品さ
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈チューイングガム、
大昔に賞味期限が過ぎている。
ブーイングコールが似合いの
破格の商品だ。

「大昔に賞味の期限が過ぎた」お菓子など売ろうとすれば「ブーイングコール」が上がるのは当然です。しかし、客のいない場所で主人公が何を売ろうと、もはや誰にも何の迷惑もかからないはずです。野次を飛ばす主体がいないはずなのに聞こえる「ブーイングコール」は、おそらく主人公の内から湧いてくるものです。

「チューイングガム」に「キャンディ」に「僕」も入れて「ラッピング」を付けて、どんなに「御得な商品」にしたところで、買い手がつかなければ「朽ちて」いく他ありません。主人公の嫌気が痛切に滲んでいます。


さあさ始まる新時代までの
声もなくなった幾万年
とうに廃れた知識なんてほら
全部全部全部置いて行け
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈さあ新時代が始まるぞ。
沈黙の旧時代が幾万年。
とっくに廃れた知識なんて
全てそこに置いて行け。

時が過ぎ、「幾千年」が「幾万年」に変わりました。それでも主人公の身の回りにはこれと言った変化はなかったようです。「新時代」は未だ訪れず、おいてけぼりを食らった「廃れた知識」たちは旧時代にたむろし続けています。


病んだ心と宇宙舞うばかり
もう腐って死ぬチョコレート
枯れてカラカラ朽ちてガタガタ
遂に落っこちたアドバルーン
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈病んだ心は浮ついた夢想をする。
腐り果てたチョコレート。
空気が抜けて壊れて
遂に落下したアドバルーン。

嫌気が過ぎて主人公の「心」は「病ん」でしまったのでしょうか、「宇宙舞う」と言う地に足着かない空虚な行為で暇を潰しているようです。

「チョコレート」と「アドバルーン」は、それぞれ先の歌詞に出てきた「キャンディ」と「エレベーター」に対応しています。通常「腐」らないはずのお菓子が「死」にそうになっていて、空気が「枯れて」浮き上がれなくなった「アドバルーン」はガラクタと化しています。

それぞれに意義があって作られたはずなのに、消費されることなく取り残され「朽ちて」いくものたち、価値が保たれていた当時はありきたり過ぎて特別に意識されることもなかったのに、使いようがなくなってから注目を得るとは皮肉なものです。


イエイ もう三万年間このまんま!
「いらね」って投げ出して 愛なんかとっくに売れちまって
イエイ 飛ばせショッピングカート声荒げ
今ならばお安いぜ 丁重にラッピング施して
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈もう三万年間このままだ。
「いらね」と投げ出された。愛なんてどこにも残っていない。
声を荒げ、ショッピングカートを押し進む。
今なら安いよ、丁寧なラッピング付き。

「いらね」と適当な判断で「投げ出」されたのは、主人公を含む旧いものたちです。「新時代」に連れて行ってもらえなかった主人公は、その中にしか居場所を得られません。

「声荒げ」て宣伝し「ショッピングカート」を「飛ば」しても、同じ場所を堂々巡りしているだけです。


チューイングガム
ああ、街ではおばけの呼吸が沸き散れば
ブーイングコール
蒸気みたいに揺らめいてなくなった
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈チューイングガム。
街ではまだおばけが呼吸を続けている。
ブーイングコール。
けれど蒸気のように揺らめいて消えてしまった。

「おばけ」は既に死んでいるもの、「呼吸」は生存の証明です。つまり「おばけの呼吸が沸き散」ることは、主人公を含む「廃れた知識」がまだその「街」に息づいていることを表しています。

しかし、すぐに消えてしまう様子から、存在が残っているだけで意義を取り戻すことはできないとわかります。


イエイ もう三億年間このまんま!
這う這うで逃げ出して 愛なんかとっくに売れちまって
イエイ 進めショッピングカート僕を乗せ
今ならばお安いぜ 丁重にラッピング施して
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈もう三億年間このままだ。
皆這う這うの体で逃げ出した。愛なんてどこにも残っていない。
僕はショッピングカートに乗り込み進む。
今なら安いよ、丁寧なラッピング付き。

「三万年」が「三億年」に伸びても、「僕」は相変わらずです。

歴史に記された文化や道具は、資料が残る限り忘れられることはありませんが、取って代わった新しい習慣や技術がある以上、その価値が蘇ることもありません。三兆年でもそれ以上でも、それらが「朽ちた」時代に取り残されたまま、「愛」を取り戻そうと空しくもがき続けるのでしょう。


チューイングガム
大昔に賞味の期限が過ぎたけど
ブーイングコール
嫌になるほど御得な商品さ
米津玄師 -駄菓子屋商売

解釈チューイングガム、
大昔に賞味期限が過ぎている。
ブーイングコールが似合いの
破格の商品だ。

一度解釈したので割愛します。