【SEKAI NO OWARI/LOVE SONG】の歌詞の意味を徹底解釈 | ”恋愛の歌ではない”とはどういうことなのか?
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
LOVE SONGという曲名の意味を考察
SEKAI NO OWARI(以下、セカオワ)の「LOVE SONG」には、「恋愛」を思わせる要素が全くありません。大人に不信を抱く子供が描かれた歌詞がハードな曲調に乗せて歌われます。
世の中を風刺するような、皮肉に満ちた歌詞をよく読んでいくと、親心にも似た、非常に深い愛情のあるメッセージを読み取ることができます。独自の音楽性を持つセカオワならではの「LOVE SONG」ではないでしょうか。
LOVE SONGの歌詞の意味を徹底解釈
1番
いつの時代もいるんだ
「大人はいつも矛盾ばっかり」とか「嘘ばっかり」って言うKid
今の君はどうなんだい そんなに子供は純粋だったかい?
時間が成長させるとでも? Hey Kid
君の言う腐った大人もかつては今の君みたい
嘘つきはガキの頃から嘘つき なぁKid
大きなモノに噛み付いて 安全圏に逃げ込んで
撫でられながら威嚇する Hey Cat
解釈今も昔も変わらず、
大人の揚げ足をとる子供はいるんだ。
でもどうだ、君はそれができるほど純粋なのかい?
時が経てば君の望む大人になれると思う?なぁキッド(子供時代の僕)。
君は「腐った大人」と言うが、そいつも昔は子供だった。
その頃から嘘つきだったんだよ、なぁキッド(子供時代の僕)。
大人に食ってかかるけど、守られた場所に逃げ込み、
飼い猫のようにナデナデされながら威嚇してるよね。
大人に不信感を抱く「君」に向かって、容赦無くこの世の真実を突き付けます。「子供が純粋」だなんてまやかしだと。矛盾や嘘にまみれているのは大人も子供も同じで、子供は飼い猫のように守られている立場だから、大人を威嚇できるだけなんだと。
僕たちもかつては、いつか素晴らしい人に
憧れていた 君と同じさ
解釈僕達も君と同じように、いつか理想的な大人に憧れていたんだよ。
前段で真実を突き付けたあと、一転して「君」と同じ目線で語りかけます。
「僕も子供の頃は、君と同じように、公明正大な「大人」になりたいと思っていたんだ」と。
いつだって時間はそう
僕達を楽にさせて
少しずつ麻痺させて
最高な大人にしてくれる
解釈時間とともに、不信感が麻痺して楽になってくる。
大人になれば自分たちのことを最高だと思えるようになってくる。
大人になるとはどういうことか、「君」を諭し始めます。
いつだって時間はそう
諦めを教えてくれる
君達をいずれ
素晴らしい人にしてくれる
解釈時間とともに、思い描いた理想的な大人にはなれないという諦めがついてくる。
いずれ君達にも、自分達が素晴らしい人になれたと思える時が訪れる。
矛盾だらけの大人への疑いも、公明正大な大人への憧れも、いずれは諦めて手放す時がやってくる。そのとき「素晴らしい人」になれるんだ、それが大人になるってことなんだと、教えを説きます。
Hey Kid
I’m from your future
“Nice people make the world boring”
解釈なぁキッド(子供時代の僕)。
僕は未来の君だ。
「素晴らしい人々は、世界を退屈にする。」
主人公は大人になるとはどういうことかを説きましたが、それを手放しで礼賛してはいません。子供時代の自分自身に、未来から来た「僕」が寄り添い始めます。
2番
牙を剥き出しにした飼い猫達のよう
可愛いだけが取り柄なのかい?
大人達が作っていく エゴイストで悪い汚い大人像
まっすぐな思想が美しい 傾向
でも君の静寂の悲鳴は僕も知っている
弱いまんま強くなれ なぁKid
どんなに時間がかかっても 僕がここでずっと待ってるから
君の力で立ち上がれ 平気
解釈君達は敵意をあらわにする飼い猫みたいだ。
子供ゆえの可愛さだけしか取り柄がないの?
「悪い大人」なんてのは、大人達によって作られたイメージだ。
また、純粋でまっすぐな思想が美しいとされがちだ。
でも、君が悲鳴をあげたくてもあげられないことは僕も知っている。
弱さは抱えたままでいい。強くなれ、キッド(子供時代の僕)。
僕(未来の君)はいつまでもここで待ってる。
君自身の力で立ち上がるんだ、大丈夫さ。
再びこの世の真実を突きつけますが、後半から「君」を励ます方向性に変化します。過去の自分に向けたエールだと解釈できます。
「大人達」は、都合の良い「汚い大人像」を作り上げます。それは同時に『自分はそんな汚い大人じゃないよ』と言いたいからなのかも知れません。
「弱いまんま」とは、「嘘や矛盾を抱えたまま」ということで、「強くなれ」とは、「それを自覚して生きろ」ということだと考えられます。
僕達もかつては、いつか素晴らしい人に
憧れていた 君と同じさ
解釈(一度解釈したので割愛します)
主人公は再び「君」の目線に立って独白します。
いつだって時間はそう
僕達を楽にさせて
少しずつ麻痺させて
最高な大人にしてくれる
解釈(一度解釈したので割愛します)
再び、過去の自分へ「大人になること」について説きはじめます。年月とともに自分が大人になり、大人への不信を忘れた時に「最高な大人」になるのだと。
いつだって時間はそう
諦めを教えてくれる
君達をいずれ
素晴らしい人にしてくれる
解釈(一度解釈したので割愛します)
嘘や矛盾から逃れることはできないと諦めることで「素晴らしい人」になれると繰り返します。
いつだって時間はそう
僕達を楽にさせて
少しずつ麻痺させて
最高な大人にしてくれる
解釈(一度解釈したので割愛します)
3度目の繰り返しです。過去の自分に対して、君はやがて「最高な大人」になれるんだ、と伝えています。
いつだって時間はそう
諦めを教えてくれる
君達をいずれ
素晴らしい人にしてくれる
解釈(一度解釈したので割愛します)
3度目の繰り返しです。過去の自分に対して、君はやがて「素晴らしい人」になれるんだ、と伝えています。
Hey Kid
I’m from your future
“Nice people make the world boring”
解釈(一度解釈したので割愛します)
再び「君」に伝えます。時間とともに、君は「最高な大人」「素晴らしい人」になれる。でも、そんな人たちが世界を退屈にしているんだと。
それは逆に言えば、自分の中にある嘘や矛盾から目をそらさずに生きろ(弱いまんま強くなれ)というメッセージだと読み取ることができます。世の中を風刺しているようで、実はとても核心的なことを伝えています。
子供時代の自分に語りかける形の歌ではありますが、現役の子供であるリスナーから、かつては子供だった全ての大人のリスナーまで、全ての人に向けられたメッセージソングとも言えます。表面的なラブソングではない、セカオワ流の「LOVE SONG」ではないでしょうか。