【みゆな/ユラレル】の歌詞の意味を徹底解釈 | 「他の誰でもない。自分だ」という想いがひしひしと伝わってくる曲
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
ユラレルという曲名の意味を考察
まずこの曲に出てくる「僕」について考えてみたいと思います。
この曲の歌詞は、みゆなさん自身の言葉だと思いますが、「僕」と称して歌われている。それは何故なのでしょうか?
私なりの解釈にはなりますが、「僕」という中性的な呼び方をすることで、ジェンダー(男女)感をあまり感じさせず、男とか女である以前に「自分である」というものを表現したいのではないかと思います。
そんな「自分」と、その周りの世界との間で、さまよいながら「揺られ」ている。そんな意味が込められているのではないでしょうか。
ユラレルの歌詞の意味を徹底解釈
1番
雁字搦めの光探して
さまよった道
安定しない
気持ち抑えて
前を探す
しっかりした大人になりたい。
なりたくないけどならなきゃいけない。
どうすればいいか分からずさまよっている。
憂鬱な気分を堪えて、まともに振舞っている。
「安定しない気持ち」というのは、やる気が出たと思えば、急に落ち込んだり、情緒不安定ということ。それを抑えて、しっかりしなきゃと前を向こうとしています。
「雁字搦めの光」とはどういうことでしょうか。探している光は「雁字搦め」に縛られている。彼女に見えているのは雁字搦めに縛られた「大人」なのではないかと解釈しました。
大人になれば不自由になる、それが大人になることなんだと分かっていて、そうならなきゃいけないと思っている。きっと多くの人が思うことだと思います。
「大人」という意味には、「ちゃんとした人」という意味もあります。自分らしくいたいけど、かと言って自分らしさがどういうものかもよく分からない。悶々と自分と大人の狭間で苦しんでいる様子が見えます。
目を開けても
わからない真実
頭の中で
描くDREAM
ちゃんと向き合おうとしても本音は見えない。
深く考えて、夢を描いた。
目を開けるとは、現実向き合うということだと思います。それでも「わからない真実」。目を閉じて現実から目を背けてはいけないけれど、目を開けて向き合ったところで誰も信じられない。
彼女にとって、自分自身が一番信じられる存在なのでしょう。思慮深く、頭の中には現実とは比べられない素敵な夢を描いているのかも知れません。
鍵が解けない
明日が描けない
忘れていた
あなたの声
誰も信じない
わかってくれない
誰か僕を見つけて
自分の何がダメなのかわからない。
未来をどう生きればいいのかわからない。
生きる気力をくれた言葉も今は思い出せない。
誰も僕の気持ちは理解できないんだから、打ち明けても無駄だ。
でもこうやって苦しんでる自分が、ここにいることに誰か気づいてほしい。
誰もわかってくれないという孤独感でいっぱいで、もがき苦しんでいる様子に胸が痛みます。なんでこうなのか。なぜこんなに苦しいのに、誰もわかってくれないのか?なぜ誰も気付いてくれないのか?何もかもが分からず、なす術が見つからないのです。
「忘れていたあなたの声」は、彼女にとって大事だった人の声ではないでしょうか。その人の存在、もしくは言葉が、自分を前向きにしてくれたのかも知れません。でも今はもう、その声も思い出せないほど、苦しい状態ということでしょう。
叫んでみた
この想いを
殺して
助けて
見て見ぬ振り様
両手を広げた
さよなら
正直に声に出してみたら、自然と言葉が出てくる。
そしたらまた、みんな聞こえないふり。
もういい、飛び降りる。
誰もわかってもらえないと諦めて、口に出さずにいた思いを、言葉にしてみたら、正直な、ストレートな表現で叫びとなったのでしょう。「殺して」「助けて」これが彼女の本当の気持ちなのです。
「辛いなら吐き出して」ってよく言われますが、正直に言ったところで、知らんぷりされるか、「そんなこと言わないで」って適当に励まされるだけ。
呆れにも似た「さよなら」だと思います。「両手を広げ」て、今にも飛び降りようとする彼女の姿が描かれています。
馬鹿みたいに泣いて
この広い世界に逃げ場がなくて
壊れ落ちたんだ
錆びついた僕を
oh oh oh oh
誰かが
磨いてほしいよ
泣きじゃくっても知らん振りされる。
世界は広いはずなのに、居場所なんてどこにも見当たらない。
涙も固まってきて、それでも一人ぼっち。
いつか誰か、わかってくれる人が現れてほしい。
苦しくて、泣けるだけ泣いても誰も助けてくれず、冷たい目で見られてしまえば、泣ける場所も無くなってしまいます。それを「逃げ場が無い」と言っているのでしょう。
世界は広いはずなのに、自分のいる世界は狭い。みんな同じに見えているのかも知れません。泣きじゃくっても助けてくれず、誰も拭ってくれない涙は、泣き疲れた後、頬でそのまま固まってしまって、まるで錆びついているみたいです。
こんな僕を、いつか誰か、見つけて抱きしめてほしい、そう願っているのだと思います。
2番
カラスの声が響き渡って
何も聞こえない
笑顔を見せて
吐き気が襲う
そんな夕方
沈んだ気分の自分に向かって鳴いてるみたいでうるさい。
今日も誰かが「笑って」と言っている。
それもうるさい。
「そんな夕方」と言って、彼女のいつもと変わらない日常を表しています。今日も気分は沈んでいる。
そんな中、カラスの声や誰かのポジティブなメッセージは、彼女にとってただうるさいだけのもので、「吐き気」がするのかも知れません。
思うことを
どう伝えればいいの
頭の中で
止まる DREAM
伝えたいとは思っている。
でもその方法がわからないだけ。
いつもそこで諦めて空想にふけっていたけど、今は少し向き合ってみる。
「どう伝えればいいの」。彼女の素朴な疑問です。みんながいつも普通にやっていることは、自分にとっては簡単なことじゃ無い。不器用な自分を素直にさらけ出しているように見えます。
そして、いつもならそこで「頭の中で描くDREAM」だった自分が、今日は「止まるDREAM」。自分の殻に閉じこもることをちょっと辞めて、現実を見つめていますね。
ガラスの破片を握る勇気を
この僕でも貰えたかな
手探りの日々
変えていく STORY
傷が付くことを分かってそこに踏み込む。
そんな勇気が僕にもあるかな。
先は見えないけれど、少しずつ進んでいく。
「ガラスの破片」を握れば、自分の手は傷ついて血が出てしまいます。それを自ら握るということは、自分が傷ついてしまう場所に行くということでしょう。
彼女にとって危険で、怖い場所。そこに行けば傷ついてしまうことはわかっている。それでも踏み込むという「勇気」が自分にもあったのかも知れないと言っています。
「手探り」だけど、そうやって少しずつ「STORY(人生)」を「変えていく」。彼女の前向きな言葉です。
壊れ落ちたこの世界
崩れ落ちた僕の愛
誰か僕を見つけて
前向きになったところで、世界が変わるわけじゃ無い。
僕の心も壊れたまま。
それでも勇気を出せば、いつか誰か、見つけてくれるかも知れない。
今までと同じように、世界を悲観していることは変わってないような歌詞ですが、少しだけ前向きになっているのではないかと解釈しました。
勇気を出して、ほんの少し踏み出せば、今いる場所からほんの少し進んでいるはず。そうすればいつかは自分を見つけてくれる人のところにたどり着くかも知れない。少しだけ希望を持つことができているのでは無いでしょうか。
叫んでみた この想いを
殺して 助けて
見て見ぬ振り様
両手を広げた
叫んでみた この想いを
殺して 助けて
見て見ぬ振り様
両手を広げた さよなら
一度解釈したので割愛します。
一度解釈したので割愛します。
馬鹿みたいに泣いて
この広い世界に逃げ場がなくて
壊れ落ちたんだ
錆びついた僕を
oh oh oh oh
誰かが
磨いてほしいよ
一度解釈したので割愛します。
一度解釈したので割愛します。
雁字搦めの
光差し込む
僕だけの道
ちゃんとした自分というものが、少しだけ見えた。
そこに向かう道のりは、僕だけのもの。
「雁字搦めの光」のような未来は、変わらず壊れて見えるけれど、そこに向かうための、「僕だけの道」は見えてきた。
つまり、自分自身を見失わずにいられるということでしょう。そして、自分らしく歩いていけばいいだけ、そんな言葉が聞こえてきそうです。
まとめ
誰もわかってくれない、そんな孤独な気持ちにただただ寄り添ってくれるみゆなさんの歌詞は、ポジティブな言葉を並べるだけの歌には無い頼もしさがあると感じました。
この曲に共感する人たちはきっと、言葉を変えただけで単に「頑張れ」と歌っている曲には到底救われないのだと思います。
孤独な自分を見つめて、そしてほんの少しだけ前向きな言葉をくれる。その言葉は、1ミリも説教くさくなくて素直に受け入れられるのでは無いかなと思います。