【BBHF/花のように】の歌詞の意味を徹底解釈 | 強く生きたいという想いがひしひしと伝わってくる歌詞
編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19
BBHF「花のように」ってどんな曲?
BBHFのセカンドEP『Family』に収録された曲で、製作に時間をかけたことで尾崎雄貴が「もっとも気にいっている」と語っています。
アルバムは全体的にアジアのテイストを取り入れていて、『花のように』では「インドでダンスを踊っている様子を思い描きながら作った」そうです。
エレクトロのイメージが強かったGalileo Galilei時代とは違う、アジアの過酷な自然の中で生き抜くような、リアルなサウンドが展開されています。
「バンド史上もっともリズム楽器が入れられている」という『花のように』はコミカルになりがちなインド・ポップスを見事にシリアスに構成し、歌詞も含めてBBHFの魅力が最大限に表現された楽曲となっています。
花のようにという曲名の意味を考察
『花のように』は「砂漠に咲く花のように強く咲きたい」という願いを込めてタイトルが付けられています。
サボテンに代表される多肉植物は砂漠で自生しますが、曲中からは繊細な花が乾燥の中で耐え抜き、雨を受けて綺麗に咲き誇る姿が想像されます。
生きる気力もなくなった散々な毎日を送る人に、明日を信じて立ち続ける勇気を与えてくれる曲だと思います。諦めて崩れ落ちるのはまだ早いのです。
花のようにの歌詞の意味を徹底解釈
1番
いつもの死神を見た 仕事を辞めるのに金がいるってよ
ビルとビルの間
とめどなく流れる砂の 涙を拭く暇もなかった
生きる情熱を取り戻す 僕は思いつめ探していたよ
人と人の間
名前を呼ぶ声が 砂漠のように聞こえる
仕事を辞めようとしたら金を払えって言われた。
流しすぎて水分すらなくなった涙を拭く暇なんかない。
生きる気力を探して砂漠みたいな人波を歩いている。
仕事を辞めたいのに「手切れ金を払え」とでも言われたのでしょうか?
手切れ金が必要な仕事となるとかなり悲惨ですね。
よっぽどお金に困っていたのでしょうか?
やむにやまれず始めた仕事。それなりに給料もあったのでしょうが、それ以上に続けるのが辛かったのでしょう。
主人公はこれまでまっとうな仕事をやってきたのかもしれません。しかし、なにかの事情でその仕事が出来なくなり、お金に困って始めたのが今の仕事なのでしょうか。お金を手にしても素直に喜べず、歯軋りをしながら働いてきたのかもしれません。
ある日、我に返ったとき「こんな仕事は辞めてしまおう」と決意をしたはずです。そして、勇気を出して上司に「辞めたいです」と告げたら「簡単に辞めれると思うな。辞めたいなら金を払え」と。
映画のようなこの展開。主人公は「死神を見た」と感じるほど青ざめます。
この地獄のような日々から逃れることは出来ないんだと悟ったのです。
涙は流しすぎて砂のように落ちてきます。止めることも出来ず、拭うことも出来ず、ただ流れ続ける。
ずっと悲惨な気持ちを抱えていたのでしょう。涙が流れることが当たり前のような毎日です。
こんな毎日、生きていく必要はあるのかと自らに問います。生きていくための情熱はどうやったら手に入るのでしょうか。探して見ても見つからず主人公は思いつめます。
都会にいるのにまるで砂漠を歩いているような錯覚。人の声すら蜃気楼に揺れる幻のように、消えかけた魂を抱えて主人公は生きています。
あなただけがその中で 明日の雨を待つ花のように
上を見上げ凛と 凛と立って 何かが起こるように目をあけて
あなたは砂漠の中で雨が降るのを信じて待つ花のようだ。
空を見上げて力強く咲いている。
奇跡が起きると信じて咲いている。
そんな砂漠の中で、涙も流れすぎて砂のように吹き荒ぶ中で、主人公は「あなた」を見つけます。
砂漠の中では花は咲くことが出来ません。
それでも花のように「あなた」が咲いているのは雨が降るのを信じているからです。
生きるのを躊躇うほど落ち込んだ主人公にとって「あなた」は衝撃的な存在だったかもしれません。
嘆いてばかりの自分と比べて、雨を信じ続け強く生きる「あなた」からは生きることへの情熱が感じ取れます。
2番
天使の横顔を見た 手を伸ばし ためらってやめたよ
家の壁に描いた
掴めるはずだった日々が こんなに白けて見える
生ける屍になるなら 僕は消し炭になって散りたい
でもそうはいかない
守るべきものを抱きしめて 砂漠の真ん中に立ち
天使に会った気がして救いを求めてみたけど、躊躇ってしまって結局やめた。
家の壁に昔描いた夢は、今じゃ白けた夢だ。
死んだように生きるくらいなら、いっそ一思いに死んでしまいたい。
でも守るものがあるから死ぬわけにはいかない。砂漠の真ん中で生きていかなきゃ。
主人公は天使に出会います。
それは地獄の淵から助けてくれる存在に見えたのでしょう。
遭難した海で流れてきた木にしがみつくような思いだったかもしれません。
必死に手を伸ばして天使に助けを求めようとします。
しかし、主人公は躊躇します。
何故、躊躇ったのか?
二つの可能性があると思います。
まず一つ目は、
「ほんとうにこれは天使なのか?」
と思ったから。
いままで裏切らたことが多かったのかもしれません。信じていいのか躊躇って手を伸ばすのをやめたのです。
もう一つは、
「俺みたいな価値のない男が救われてもいいのか?」
と思ったから。
生きる情熱を見出だせない主人公は自分自身を価値のない人間だと思っているかもしれません。
天使に助けられるべきなのはまっとうに生きている価値のある人間であり、自分のような人間は助けられるべきではない。
そう思ったから、掴みかけた手を離してしまったのではないでしょうか?
他にも理由は考えられるかもしれません。
このあたりは受け手の想像に任せられている部分ですね。
そうして天使の救いも拒絶した主人公の家には壁に絵が描かれていました。
それは主人公がまだ夢と希望に満ちていた頃、未来の自分を描いた絵でした。
そうなっていたはずの未来像とは程遠い現状。壁の絵を冷めた気持ちで見つめる自分。
夢も希望もない生活は死んでいるようなもので生きた心地がしません。死んだように生きるくらいなら消し炭になりたいと主人公は願います。
「消し炭(けしずみ)」とは炭や薪を途中で消して作った軟質の炭のことで火種に使われます。つまり、主人公は「いっそ燃え尽きたい」のです。
しかし、主人公は思い止まります。
自分には守るものがあるのだ、と。
まだ死ぬわけにはいかない、と。
守るものとは家族でしょうか?
それとも大事にしている気持ちなどでしょうか?
主人公は守るもののために生きることを諦めませんでした。
あなただけがその中で はぐれて咲く花のように
上を見上げ凛と 凛と立って 何かを掴むように手をあげて
あなたは砂漠の中にはぐれて咲いている花みたいに、空を見上げて、力強く咲き、何かを掴むように手を伸ばしている。
主人公は「あなた」のように、砂漠の中でも諦めず咲く花のように、なりたいのです。
どれだけ毎日が悲惨でも、たとえ生きる情熱が見つからなくても、希望にしがみつき咲き続けたいと思っています。
あなただけがその中で 明日の雨を待つ花のように
上を見上げ凛と 凛と立って 何かが起こるように目を開けて
何かが起こるように目を開けて
一度解釈したので割愛します。
一度解釈したので割愛します。