【キタニタツヤ / Moonthief】の歌詞の意味を徹底解釈 |キタニタツヤworldを感じ、生きるって難しい…と思う歌詞を紐解く!
執筆・監修: 今井桜愛編集: 天野結衣最終更新: 2023/12/10
Moonthiefという曲名の意味を考察
曲名の「Moonthief」はMoon(月)とthief(泥棒)が合わさってできています。
歌詞にも月を盗み出して”と出てきており、月を盗む理由が記されていることから、この曲名がつけられたのではないでしょうか。
Moonthiefという歌詞の意味を徹底解釈
複雑な思い
うーん
どうにかなってしまいそうな
僕が僕でなくなっていくような
誰かの人生に変わったとして
それはそれで生きてしまえるような
借り物みてーな日々だって愛着も湧いている
神妙な顔して踊っている
夜去、香り立つペトリコール
Moonthief -キタニタツヤ
このフレーズでは何かが上手くいかない状況や混乱に直面している様子が描かれているようです。
主人公は自分のこれまでの人生について振り返っているのでしょう。
もし自分の人生が他の誰かのものに変わってしまっても、それでもなんとか生きていけるような気がしているようです。
フレーズに出てくる”ペトリコール”は別名「石のエッセンス」とも言い、雨が降った時に地面から上がってくる匂いを指します。
夜が終わりもうすぐ朝が来るその時を不思議な感覚で見ており、自分の道で歩いているようないないような、自分の意思があるようなないようなそんな複雑な感情をこのフレーズでは記しているのかもしれません。
微妙な感覚
あの月の眩しさが邪魔だった
暗くて甘い夜が好きだった
かばんの中で溶けかけた
チョコレートみたいな曖昧なベーゼ
Moonthief -キタニタツヤ
月は神秘的であり、月明りを見ると美しいと感じることがあります。
ですが主人公はその月を見ることが苦痛に感じることが多く、夜の静けさや暗さに包まれたいという感情があったようです。
”暗くて甘い夜が好きだった”とあることから、暗い夜に何か魅力を感じ、安らぎを得ることができたのでしょう。ですが”チョコレートみたいな曖昧なベーゼ”とあることから甘いような苦いような、何とも言えない気持ちになっていることもうかがえます。
愛なんて…
愛は死語になる、価値はとうに無く
愛はもう地縛霊、彷徨しだす
放射冷却で凍りついた街をすべる
Moonthief -キタニタツヤ
ここでは、愛に対する考え方や価値観が変わり果て、もはや「死語」すなわち使われなくなった言葉のようなものであり、愛に関する感情や概念が変容し、複雑化していることを記しているようです。
”地縛霊”は亡くなった人の霊が地に縛られて彷徨うことであり、愛もまた束縛された状態で自由になれないと主人公は感じているのでしょう。
フレーズの出てくる”放射冷却”は天気予報で聞くことが多い言葉であり、地面が冷えるために空気が冷やされ気温が下がる現象を指しています。ここでは愛が冷え、周囲の状況が感情に影響を与えていることを示唆しているのでしょう。
主人公は愛なんて言葉を信じたくないと思っているのではないでしょうか。
希望を見出せるかな
僕らはMoonthief
月を盗み出してしまおうぜ
こわいものばかりの世界の中
ちょっとだけ隠れやすくしたって
いいだろMoonthief
あいつらの目を騙くらかして
死にたくなるほどの夜だけは
ちゃんと生きれてる気がしたんだ
Moonthief -キタニタツヤ
このフレーズでは”Moonthief(月泥棒)”をしたい理由が描かれえているようです。
主人公にとって月明かりはきれいなものではなく、むしろ怖いものであるのでしょう。
恐ろしいもので満ちている世界の中で、主人公は少しだけでも安全に隠れることができる場所を見つけようとしているようです。
また普段本当の自分を抑え込み、周りの期待や評価に左右され生きている自分を嫌になり死にたいと思うこともあるけれど、そう考える夜ほど逆にきちんと自分で生きている気がしたのでしょう。
今の状況から逃げ出せたらどんなにいいか、と思っているのかもしれません。
本当はどうしたい?
厭世主義者ぶるいけない子
o0(この星の終わりを夢に見ている!)
愛を説こうとも意味がないの?
o0(想像もつかないほど綺麗かも…)
Moonthief -キタニタツヤ
"厭世主義者(ペシミスト)"は人生や世界に対して否定的な見方を持つ人を指します。
ここでは本当は悲観的な見方をしていないのに、わざと悲観的になっていると記しており、どこか自虐的になっているようでもあります。
”o0”はインスタで使われることもあるのですが、何かを考えている時の顔文字として使われることもあり、心の内面を綴っているようです。
自分の中で自分と会話をしているようでもあり、愛や感情に対する無関心や疑問を表現しているのかもしれません。
もうこうなったら
あの月に祈れども無駄だった
潰れたロードキルが僕だった
群れるビルが墓碑に見えた
ピカレスク気取って開き直ろうぜ
Moonthief -キタニタツヤ
”潰れたロードキルが僕だった”というフレーズは、心が傷つき、押しつぶされたような感覚を示しているのでしょう。
綺麗な月を見て、何とかしてほしいと思ったけれどどうにもならず、周りに建ち並ぶビルが墓石のように見え、周りの景色が主人公にとって重苦しく感じられたようです。
”ピカレスク”は「悪者」「悪党」などの意味がありますが、どちらかというとズル賢くユーモアのある悪党といったニュアンスになります。
主人公はもう行くところまで行ったのだから、あとは開き直るしかないのか‥と思ったのかもしれません。
結局は
僕だけが違う、脳端子の規格
ソーシャルを離脱、勝った気の自虐
情けないくらいに寂しさが埋まらない
Moonthief -キタニタツヤ
ピカレスクを気取って開き直ってみたものの、とても寂しい気持ちになってしまったようです。
自分は他の人とは違った考えや感じ方をしていて、社会的なつながりから離れているんだ、どうだ、カッコイイだろ?と思ったのでしょう。
ですが実際はそう思えば思うほどどんどん孤独感が強くなり、孤独を感じている自分を情けなく思ったのかもしれません。
結局はそう思っている自分も誰か他の人の人生を歩んでいるのではないか…と改めて思ったのではないでしょうか。
自分を取り戻す
僕らはMoonthief
月を盗み出してしまおうぜ
こわいものばかりの世界の中
ちょっとだけ隠れやすくしたって
いいだろMoonthief
あいつらの目を騙くらかして
死にたくなるほどの夜だけは
ちゃんと生きれてる気がしたんだ
Moonthief -キタニタツヤ
最後のフレーズでは、すべて見透かされているような月から逃れたいという思いが綴られているようです。
”いいだろMoonthief あいつらの目を騙くらかして”というフレーズでは、他の人の視線や期待を欺き、社会的な束縛から解放されようという意思も垣間見えます。
主人公は深い孤独や絶望と直面し、ちゃんと生きていないのではないかと思うこともあるけれど、この世から消えたいと感じることもあるけれど、でもそう思えるということは生きていることなのではないか、と感じたのではないでしょうか。
こういった夜があるからこそ、自分を取り戻すことができるのだ、と思っているのかもしれません。
まとめ
今回はキタニタツヤの「Moonthief」の歌詞の意味を徹底解釈しました。
「Moonthief 」は主人公の内側にある複雑な感情を描写しているようです。
歌詞には、自分が変わり果ててしまいそうな感覚や、他の人の期待に応えるために自分を変えざるを得ない状況に置かれていることが示唆されており、本当の自分を押し殺して生きていることが伺えました。
寂しさや孤独、絶望を感じつつ、そう感じている自分はきちんと生きているんだ、と思ったのでしょう。
全体的に独特で詩的な言葉が綴られており、共感できる部分も多いように感じました。
歌詞を聞いて、深く共感する人も多いのではないでしょうか。
これからもmusic.branchwithではキタニタツヤを追って行くのでぜひチェックしてみてください!