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【ぬゆり/フラジール】の歌詞の意味を徹底解釈 | 楽曲内で描かれている「葛藤」の正体とは

編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19

目次
フラジールという曲名の意味を考察
フラジールの歌詞の意味を徹底解釈
1番
2番
まとめ

フラジールという曲名の意味を考察


まず「フラジール」とは一体どういう意味なのでしょうか。

この言葉はフランス語が語源です。「フラジール」をフランス語表記すると「fragile」、意味は「脆い」や「壊れやすい」。歌詞の解釈の際に後述しますが、この曲は一人の少年の葛藤の物語です。

つまり「脆」かったり「壊れやすい」のは、葛藤に苦しむ少年の心、ということになります。心が摩耗してしまうほどの葛藤をした、という意味にも捕えられますね。

長くなりましたが、いよいよ歌詞の解釈に移ります。

フラジールの歌詞の意味を徹底解釈

1番

くしゃくしゃになった診察券を持って 簡単な想像に日々を使っている
単純な風景にふと眠くなって 回送列車に揺られ動いている
看板の照明が後ろめたくなって 目を落とした先で笑っていた
通りを抜けて路地裏の方で 屈託も無く笑っていた
ぬゆり -フラジール
ひいらぎの解釈手のひらの中にあるのは、もう必要が無い診察券。最近はずっと、つまらない想像に日々を費やしている。
車窓を流れるのは、さっきからずっと変わらない風景。面白みのない光景に眠気を感じながら、じっと列車に揺られていた。
ふと目に入った看板に少し気まずさを覚えて、思わず目を逸らした。
そうしたら、その先で笑っていたんだ、君が。
通りを抜けた路地裏の向こう側で、昔と同じ、屈託のない笑顔で。

これは歌詞の冒頭、物語でいうプロローグになります。

この頃の主人公(楽曲内の「僕」)は、もう必要の無いはずの診察券を捨てる気力も無く、簡単な想像や単純な風景に日々と命を費やしている、いわば何もない状況です。

三行目から、少し物語が動きます。看板の照明にさえ居心地の悪さを覚えて目を逸らしたその先。「目を落とした先で笑っていた」のは、この楽曲の鍵になる、「僕」以外の誰かです(楽曲内の「君」)。

屈託も無く笑っていた、という表現から、その「君」は女性であることが窺えます。しかしこの「君」は、実際に路地裏で笑っていたわけではありません。夜、動く電車に乗りながら、路地裏にいた人の表情まで一瞬で判断できるでしょうか。

つまりこれは、電車に乗って車窓を眺める「僕」が、無意識に見てしまった幻覚のようなものです。



映画の上映はとうに終わっている 叱責の記憶がやけに響くから
できれば遠くに行かないでくれ 出来るなら痛くしないで
ぬゆり -フラジール
ひいらぎの解釈映画の上映(過去のフラッシュバック)はとっくに自分のなかで終わっている。思い出せるのなんて叱責の声だけなのに。
(思い出の「君」に向かって)できれば遠くに行かないで、もうこれ以上僕の心をかき乱さないで。

この場所が、楽曲内で描かれる最初の「葛藤」です。


思い出したくない過去(恐らく良い思い出ではない)。けれどその中で唯一、「僕」にとって拠り所だったであろう「君」の屈託のない笑顔。過去を捨て去ろうと、全てを振り切って一人列車に乗り込んだはずなのに、頭の中をちらつく「君」の笑顔が「僕」の心をかき乱す。忘れたいのに忘れさせてくれない、そんな葛藤がこの場面です。


構わないで 離れていて
軋轢にきゅっと目を瞑って
報わないで 話をして
窓越しにきっと目を合わせて
ぬゆり -フラジール
ひいらぎの解釈もう僕に構わないで、どうか僕の心から離れていって。
あの頃の不和なんて思い出させないで。
僕を報おう(仕返しとして苦しめよう)としないで、またあの頃みたいに話をして。
この電車の窓越しでも、目が合ったと思いたいんだ。

ここからサビですが、ここは少年の葛藤がとても強く表れている場面です。


構わないで欲しい、離れていってほしいと思いながら、その切、あの頃のようにまた救われようとしている。

前半は建前、後半は潜在意識だと思いますが、後半の潜在意識の方が強すぎて、彼女の幻覚を見るまでになってしまったんですね。


2番


退廃に暮れた劇場の角で 眠らなかったはずが眠っていた
アラベスクには触れなかったんだ 火が付いたように街が光った
ぬゆり -フラジール
ひいらぎの解釈無頓着なあの子が傘を差したら それで報われるくらい単純でしょ
左手の指輪右手に隠して 戸惑ってるふうにしてた劇場(過去のフラッシュバッグ)に疲れて、ついに眠ってしまっていたらしい。
複雑な部分には触れないようにした。街の方はもう随分と明るくなっていた。かつて無頓着だった君が、僕に傘を差しだしただけ。それだけで僕は君に傾いてしまった。
見られたくない部分を必死に隠して、まるで戸惑ってるふうにみせたんだ。

サビのあと、いつの間にか眠っていたらしい「僕」は、車窓を流れる街の明かりで目が覚めます。


アラベスク、というのは宗教的な幾何学模様です。つまり、記憶のなかのかなり複雑な部分、という意味に捕えられます。

三行目からは過去の回想になります。ここは恐らく「僕」と「君」の出会いのシーンです。


雨の日、「君」が何気なく「僕」に差し出した傘のせいで、「僕」はそれからずっと心をかき乱されることになります。左手の指輪、というキーワードを踏まえると、それまで「僕」がずっと苦しんでいたのは女性関係だったのかもしれません。


捜さないで いつの間にか
消えたことに気付く距離ならば
許さないで 最初だけは
悲しくも無いはずにしたくて
ぬゆり -フラジール
ひいらぎの解釈消えた僕のことを捜さないで。僕が消えたことに気付くような距離だったならば。
消えた僕のことを許さないで。僕は君なんかいなくても寂しくないと思いたいんだ。

ここも、「僕」の葛藤が顕著に表れている場面です。


捜さないで、というのは建前でしょう。本当は捜してほしい、けれど、「僕」は「君」がそんなことをしないのもとっくに分かっています。

許さないで、というのは潜在意識の言い換えです。「僕」のことを許されなければ、「君」は「僕」のことを忘れないのかもしれない。つまり、本心は「許さないで」ではなく「忘れないで」だと思われます。



構わないで 離れていて
軋轢にきゅっと目を瞑って
報わないで 話をして
窓越しにきっと目を合わせて
眠らないで 言葉にして
照らした光に目を細めて
笑わないで 君に咲いた執着よ、僕を飲み込んでくれ
ぬゆり -フラジール
ひいらぎの解釈(前半は解釈済みのため割愛)
君の中で僕の存在を眠らせないで、また僕に何かを語りかけて。
眩しそうに目を細めて笑う、君の笑顔をまた僕に見せて。
僕のこの吐露をどうか笑わないで。
ああいっそ、君に咲いたこの執着が、僕を飲み込んで消し去ってくれれば。

楽曲はこの場面で終わります。


これは全て建前では無く、「僕」の本心です。

忘れようとすればするほどに、「君」の言葉や笑顔が頭を埋め尽くします。本当は自分を受け入れて欲しい。そんな最大の本音が、ここでは露わになります。

そして最後、僕を飲み込んでくれ、という1フレーズで締められるこの曲。「君」への思いに潰されそうになった「僕」が、いっそこの重圧によって楽になってしまいたい、と切な願いを以て終わっています。


まとめ


今回はぬゆりの「フラジール」の歌詞を徹底解釈しました。「フラジール」はぬゆりの曲の中でも有名で聞いたことがある方もいたのではないでしょうか。独特なテンポと泣き叫ぶような歌わせ方がいいですよね。


今後も当サイトではぬゆりを追って行くのでぜひチェックして見てください!

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