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【米津玄師/爱丽丝】の歌詞の意味を解釈

編集: ひいらぎ最終更新: 2020/9/19

目次
Aliceという曲名の意味を考察
Aliceの歌詞の意味を徹底解釈
1番
2番

Aliceという曲名の意味を考察

『不思議の国のアリス』の主人公、アリスを、中国語で表記したのがこの曲名です。

米津さんご自身のツイートによると、ご友人の水墨画家CHiNPANさんが作ったタトゥーシールから影響を受けたそうで、CHiNPANさんはInstgramで「そういえば、私は幼少期に母にずっとアリスの格好をさせられて生活していたんだけど、なんだかそのまま大きくなってしまような感じがする」と書いています。

CHiNPANさんの投稿から伺えるように、アリスは特殊な少女性に結びついています。かわいらしいだけでなく、想像力と好奇心を備え、光る個性を持った女の子がアリスです。アリスに惹かれる人は老若男女問わず多いように感じられます。

しかし、アリスはあくまで作り話の登場人物です。憧れのあまり強烈に不思議な世界に迷い込むと、生身の精神は狂ってしまうかもしれません。


Aliceの歌詞の意味を徹底解釈

1番

真っ逆さまに落っこちた ふとした刹那につまづいて
マンホールの中に落っこちた そこからはパラノイア
心臓のあたりで少年が ひたすらバタバタ駆け巡るまま
今日は何して遊ぼうか がらくたの街の中
米津玄師 -爱丽丝

解釈些細なことがきっかけで真っ逆さまに落ちてしまった。
マンホールの中に落ちたと思った。それがパラノイアの始まりだった。
腹の内では童心がひたすらに騒ぎ続ける。
空虚ながらくたの街で何をすればいいのか。

アリスは穴に「落っこち」て、不思議の国に辿り着きます。主人公もアリスのように別次元へ「落っこちた」たようですが、「マンホール」を通じて「真っ逆さまに」辿り着いた先は「パラノイア」、妄想を呈する精神病でした。

「ふとした刹那につまづいて」とありますから、些細なきっかけでがくんと気持ちが落ち込み、そのまま病的な状態に至ったと考えられます。

「心臓のあたりで」「ひたすらバタバタ駆け巡る」「少年」は、童心と解釈できます。批判など気にせず想像力を膨らませることができるのは子供ならではです。内なる童心が騒ぎ立てるので、主人公の妄想も止まりません。

「街」が「がらくた」に思える程の気落ちから目を背け、「今日は何して遊ぼうか」と無邪気なふりで快楽を追求しています。

 

姦しまやかしお伽の国で 兎の背中を追いかけていた
どこかの誰かが蓋を開いて ばら撒いた空騒ぎを見ていた
米津玄師 -爱丽丝

解釈喧騒と幻想のお伽の国で、兎の背中を追いかけていた。
誰かが空騒ぎをばら撒いた。それをただ見ていた。

「お伽の国」で「兎の背中を追いかけ」るのは、言うまでもなくアリスの物語のワンシーンです。主人公もアリスに倣い、頭の中で不思議な冒険に遊んだようですが、鮮烈なイメージを持つ幻想世界は彼には強すぎたのでしょう、魅惑よりも「姦し」さや「まやかし」を覚えています。

「蓋を開いて」「ばら撒いた空騒ぎ」は、ギリシャ神話のパンドラの箱を連想させます。パンドラと言う女性が好奇心に負けて封印されていた箱を開け、閉じ込められていた災難が世界中に飛び散ってしまった、との物語です。

この部分がパンドラの箱に言及しているなら、「ばら撒」かれたのは「空騒ぎ」どころではない大災害だったはずですが、主人公は傍観者の態度で受け流しています。

それは「空騒ぎ」が所詮フィクションの出来事だからかもしれませんが、同時に、世界規模の災難にすら動かされない感情の鈍麻を表しているとも考えられます。

 

曖昧な意識で彷徨った 摩訶不思議なアドベンチャー
虚しさを抱えたまんま 愛を使い果たした
何の話をしていたっけ フラついて零したブランデー
全てを明日に任せて踊ろうぜもっと
米津玄師 -爱丽丝

解釈曖昧な意識で空想に迷った。
愛を使い果たしても虚しさは消えない。
何の話をしていたっけ。フラついてブランデーを零したことは覚えている。
全ての責任を明日に託して、今はもっと踊っていよう。

「摩訶不思議なアドベンチャー」は妄想の産物です。彼はそれが現実ではないことを自覚していますが、「曖昧な意識で彷徨った」との表現からは、夢現の境界を見失っていることがわかります。

彼が「使い果たした」「愛」は、現実を生き抜くために必要な精神力と解釈できます。未来への希望や、困難な状況下で支え合える人間関係、自尊心も、突き詰めて考えれば、人や生、世界への「愛」に繋がります。

主人公は「虚しさ」を解消するために戦ったようですが、改善するよりも先に消耗しきってしまったのでしょう。

酒に頼り虚無感を紛らわせようとしていますが、明らかに逆効果です。「全てを明日に任せて踊ろうぜ」と現実逃避に走っています。現状の問題から目を背け快楽を貪っても、その場しのぎにしかなりません。「明日」になれば取り残された問題が再び彼の上にのしかかるのです。


2番

真っ逆さまに落っこちた さよなら数多のつまらぬ日々よ
計画もなく息巻いて 飛び込んだメトロの中
こんな日々すら万が一 夢幻ならどうしようか
まあそんならそれで大歓迎 こんにちは元の鞘
米津玄師 -爱丽丝

解釈真っ逆さまに落っこちて、つまらない日常を捨てた。
何の計画もなしに勢いでメトロに飛び乗った。
この日々すら夢幻だとしたらどうようか。
それならそれで何の問題もない。元の鞘に戻るだけだ。

「真っ逆さまに落っこちた」のを機に、主人公はそれまでの日常を無視することに決めたようです。そもそも「日々」が「つまらぬ」ものだったのが落下の一因なのでしょう。もうたくさんだと言わんばかりです。

妄想癖と享楽主義的な言動に加え、ここでは無計画な逃避行が描かれています。アリスの不思議の国も先に出てきた「マンホールの中」も地下空間ですから、「メトロ」に「飛び込」むこともまた、幻想の世界に入ることと解釈できます。

やけくそ気味に「日々」を過ごす一方で、主人公は問題意識を忘れ去ることができないようです。都合のいい妄想に引きこもり、完全に現実を切り捨ててしまえるなら、「こんな日々」が「夢幻ならどうしようか」と想像することもないはずです。

「夢幻」は虚構や思い込みのことですから、彼の疑問は、現実逃避を重ねる今の生き方が新たな虚無をもたらすだけだったらどうしようか、と読み替えることができます。

ただ、「まあそんならそれで大歓迎」と、あっさり受け入れていますから、問題があることは認識しつつ対処するつもりはまるでないことが伺えます。彼にとって「虚しさ」が募ることは、「さよなら」と切り捨てた「つまらぬ日々」に再び戻るだけで、変化にはならないからです。

 

「この街はもう駄目だすぐに逃げろ」と メゴラに跨る魔女が言う
実を言うならばそんなこと知ってんだ とかくわたしは疲れ果てたんだ
米津玄師 -爱丽丝

解釈「この街はもう駄目だ。すぐに逃げろ」と、メゴラに乗った魔女が言う。
そんなことは知っているよ。疲れ果ててしまって動けないんだ。

「メゴラ」はドイツで製造されたバイクの一種です。童話の悪役代表「魔女」ならばまず乗りませんが、現実と夢想の狭間にいる主人公の脳内を描くには的確な組み合わせではないでしょうか。

「魔女」と言えば、傲慢で小賢しく、魔法を駆使してどんな物事も動かそうとする利己的な人物像が浮かびます。そんな「魔女」が見放す程ですから、「この街」は実に救いようがないのでしょう。

「がらくたの街」での「日々」に「疲れ果て」て久しい主人公は、「魔女」の忠告に驚くより同感を覚えたはずです。しかし彼には空想の中以外に逃げ場所がありません。

 

曖昧な意識で彷徨った 摩訶不思議なアドベンチャー
虚しさを抱えたまんま 愛を使い果たした
何の話をしていたっけ フラついて零したブランデー
まだまだまだ今日よ続けと歌おうぜもっと
米津玄師 -爱丽丝

解釈曖昧な意識で空想に迷った。
愛を使い果たしても虚しさは消えない。
何の話をしていたっけ。フラついてブランデーを零したことは覚えている。
もう明日なんて来なくていい。

同じ手段で同じ逃げ場に駆け込む主人公です。問題から離れていたいがために、「全て」の責任を押し付けた「明日」が来るのを拒んでいます。

 

曖昧な意識で彷徨った 摩訶不思議なアドベンチャー
虚しさを抱えたまんま 愛を使い果たした
何の話をしていたっけ フラついて零したブランデー
全てを明日に任せて踊ろうぜもっと
米津玄師 -爱丽丝

解釈曖昧な意識で空想に迷った。
愛を使い果たしても虚しさは消えない。
何の話をしていたっけ。フラついてブランデーを零したことは覚えている。
全ての責任を明日に託して、今はもっと踊っていよう。

一度解釈したので割愛します。

 

遠くで何かが燃えていた 真っ黒こげ星とタイヤ
側には群がる人と 目を見張るドローン
何の話をしていたっけ 染み付いて残ったブランデー
全てを明日に任せて踊ろうぜもっと
米津玄師 -爱丽丝

解釈遠くで何かが燃えていた。星を焦がす炎の中にタイヤが転がっている。
側には群がる人々、驚愕のシーンを捉えるカメラ。
何の話をしていたっけ。ブランデーが染みになって残っている。
全ての責任を明日に託して、今はもっと踊っていよう。

「摩訶不思議な」地下の「アドベンチャー」から、場面は「星」空の下へと変わります。

夜空を「真っ黒こげ」にする炎の中に「タイヤ」が見えることから、「遠くで」「燃えていた」「何か」は車だと推察されます。

大事故に「人」が「群が」り、救助の手より早く現れた「ドローン」が現場を捉えようと無機質な「目を見張」っています。主人公も事件には無味乾燥と言った様子で「何の話をしていたっけ」と酒に溺れた思考をほじくっています。

地上で起こった悲惨な事故は、箱から飛び出した作り話とは違います。それでも傍観者の姿勢を崩さない主人公は、「全て」を放棄する無気力と、「虚しさ」を通り越した絶望を抱えているようです。

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