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【米津玄師/Undercover】の歌詞の意味を徹底解釈

編集: ひいらぎ 最終更新:
目次

Undercoverという曲名の意味を考察


“undercover”は、秘密裡を表す英単語です。形容詞として使えば「秘密の」「隠れた」などと訳すことができ、名詞としては「秘密捜査官」を意味します。


歌詞と照らし合わせて考えると、「隠れた願望」との解釈が適当に思えます。


曲中では主人公が苦境から抜け出そうと足掻いています。しかし、彼がどんな未来を望んでいるかに関しては具体的な描写がありません。それは彼自身が漠然としか未来を想像できないせいかもしれませんが、言葉にするのをためらっている可能性もあります。


また、夜中に一人で銃を持ち行動を起こす様子は、映画や小説に描かれるスパイを彷彿とさせます。


ひょっとすると彼は、優れた知能と強い精神力を併せ持つスパイに密かに憧れているのかもしれず、しかしその憧憬が非現実的なのも心得ていて、気付かないふりをしているのかもしれません。


何しろ「秘密」と銘打たれた曲ですから、真意についても解釈の余地が広がります。


Undercoverの歌詞の意味を徹底解釈

1番

どうやってあがいたって 逃げられやしないもんだって
理解してみたってどうしようもない
さあ今夜逃げ出そうぜ ありったけのお菓子もって
きっと役に立つと銃も携えて


米津玄師 -Undercover

解釈どうあがいても逃げられないと
理解したところで何にもならない。
ならいっそ今夜逃げ出してしまおう。ありったけのお菓子と
きっと役に立つはずの銃を携えて。


「どうしようもない」衝動に突き動かされ、主人公が逃避願望を実現しようとしています。

しかし、彼自身が「どうやってあがいたって」「逃げられやしない」と「理解して」いる以上、「逃げ出」したところで望む結果が得られないことは目に見えています。


「銃」が「きっと役に立つ」と考えられていることから危険の潜む道程が想像されますが、同時に「ありったけのお菓子」を携行品に選んでもいて、失敗の見え透いた挑戦に主人公がやけくそになっているように感じられます。

彼は何から「逃げ」ようとしているのでしょうか。

 

ハッピーなエンドがいいんだよ 誰だって喜べるみたいなさ
そんなことを思いながら僕はずっと生きていくのか
いつかもし僕の心が 完全に満たされたとしたなら
その瞬間に僕は引き金をひきたい


米津玄師 -Undercover


解釈誰だって喜べるようなハッピーエンドがいい。
僕はこの先も、そんなことを思いながら生きていくのだろうか。
いつか僕の心が完全に満たされる時が来るなら、
その瞬間を僕の最期にしたい。


何かからの逃避を求めている主人公は、自分の行く末が「ハッピーなエンド」になることを望んでいます。

幸せな終わり方を求めるのはごく自然な発想で、そこに善し悪しはないはずです。


ところが、主人公は「心が」「完全に満たされた」「瞬間に」人生を終わらせたいとまで切実に「ハッピーなエンド」を思い描く一方で、「そんなことを思いながら」「生きていくのか」と、願望を悲観してもいます。


この心境に、どうしても「逃げられ」ない何かに直面しながら、どうしても「逃げ」たい欲求に苛まれている状況を重ねると、主人公が拭いようのない苦悩を抱えていることが浮かび上がってきます。

その苦悩は、憂鬱と言えるかもしれませんし、絶望とも不幸とも言えるかもしれません。

具体的なことは描かれていないので推察の域を出ませんが、主人公は「完全に満たされ」る「瞬間」を夢見ながら、それを無理な期待だと冷ややかに見下す理性にも気付いていて、狭間で押し潰されているように思えます。

 

どんな今も呑み込んでいけば過去に変わっていく
進む方はただひとつ
いつだってさ この退屈をかみちぎり僕は
駆け抜けて会いにいくんだ
あのトンネルの先へさ


米津玄師 -Undercover


解釈今は過ごしているうちに必ず過去になる。
進める方向はひとつだけ。
どんな時だって、僕はこの退屈を振り切り
新しい未来に向かって
駆け抜けてやるんだ。


「今」を「呑み込」むことは、時間をただ消費することと考えられます。

その時に何をしようと、有意義に使おうと無駄にしようと、過ぎ去れば「過去に変わる」のが摂理です。


主人公の言う「この退屈」とは、彼が置かれているつまらない状況のことだと解釈でき、それを「かみちぎり」「駆け抜けて」いくことは、意図的に「退屈」から脱却して一心不乱に突き進んでいくことと言い替えられます。


「進む方はただひとつ」との表現が先に出ているので、彼が「駆け抜け」る方向も未来です。


したがって「あのトンネル」は彼の近い将来を表していることになります。


「トンネル」は暗くて代わり映えしない通路ですから、次の「退屈」と捉えられますが、主人公が目指しているのは「あのトンネルの先」であり、目的は「会いにいく」ことです。

つまり「退屈」から「逃げ」きることができた暁に、彼は現状とは全く別の未来を描いているのです。


2番

簡単に思えたって 上手くはいかないんだって
もう散々確かめたことだったのに
もういいやなんて言って 引き返そうとしたって
一体全体どこへ帰るのですか


米津玄師 -Undercover


解釈簡単に思えても上手くはいかないものだと、
とっくの昔に学んだはずなのに。
諦めて引き返そうとしたところで
帰る場所なんてないのに。


勢い切った逃避行は、案の定「上手くはいかな」かったようです。

諦めをつけたところで「帰る」場所を既に失っているのも「散々確かめたこと」の一部のはずで、今更後悔するかのように主人公は自問自答しています。


 

ラッキーなヒットでいいんだよ こんな苦しみを味わうより
そんなことを思いながら僕は きっと生きていくんだな
いつかもし僕の心が 完全に満たされたとしたなら?
その瞬間へ辿り着くにはどうすれば?


米津玄師 -Undercover


解釈こんな苦しみを味わうくらいなら偶然に頼っていればいい。
僕はきっと、そんなことを思いながら生きていくのだろう。
この心が完全に満たされることなんてあるのだろうか?
もしあるのだとしたら、どうやってそこに辿り着ける?


「ラッキーなヒット」は、偶然訪れる転機のことだと考えられます。

自主的な行動で「苦しみ」を繰り返し「味わうより」受け身で「ラッキー」を待っている方が、確かに楽です。

しかし、そんな消極的な生き方を安穏と受け入れられるのなら、そもそも「僕の心」に苦悩が生じることもなかったでしょう。


たとえ「苦しみ」疲れ同じ失敗を重ねることになろうと、主人公は考えることを止められないようです。

楽な道を選びたいと言う欲求を抱えながらも「完全に満たされ」る「瞬間」のために努力を続けようとしています。

 

どんな今も笑っているうちに錆び付いていくんだ
後戻りは無理なもんだ
いつだってさ 不安の腹にナイフを突き刺して
闇雲に手を伸ばした
何を掴むや知らずに


米津玄師 -Undercover


解釈どんな時間も笑っているうちに通り過ぎていく。
後戻りすることは絶対にできない。
どんな時だって、不安を消し去ろうと
闇雲にもがいていた。
結果なんて知りもしないまま。


腹の底から楽しくて「笑っ」た時も、ごまかして「笑っ」た時も、やがては「過去」に遠のいていきます。「後」になって「戻り」たいと望んでも遅いのです。


主人公は後悔を恐れているように感じられます。「不安の腹にナイフを突き刺」す、つまり「不安」を殺そうとするのは、怖気づいて動けなくなるのを防ぐためであると同時に、未然に後悔を避けようとしているかのようです。

ところが、「今夜」の逃避行が衝動的でやけ気味だったのと同様、「いつだって」彼は「闇雲」で、どんな結果に「辿り着く」か見えていません。

後悔しないように取った行動が皮肉にも後悔を導いたことも少なからずあったのではないでしょうか。

期待と諦念が共に渦巻く主人公の心境が伺えます。

 

どんな今も呑み込んでいけば過去に変わっていく
進む方はただひとつ
いつだってさ この退屈をかみちぎり僕は
駆け抜けて会いに行くんだ


米津玄師 -Undercover


解釈今は過ごしているうちに必ず過去になる。
進める方向はひとつだけ。
どんな時だって、僕はこの退屈を振り切り
駆け抜けてやるんだ。


一度解釈したので割愛します。


 

消し去ってよ この憂いも全て木っ端微塵にしてさ
行ける方へ ただ向こうへ
そんじゃ今は 何もうたわない夜に沈もうか
やがて来る朝を待って


米津玄師 -Undercover


解釈この憂いも何もかも木っ端微塵にしてしまって
ただただ生きていければいいのに。
それができないのなら、何もせずじっとしていよう。
やがて転機が訪れると信じて。


「全て」を「消し去」り「ただ」「行ける方へ」と望む主人公の姿には、「あが」くことに疲れながらも立ち止まれない悲痛が滲んでいます。


ついに挫折してしまったのか、「今は」「何もうたわない」つまり何の行動も起こさないことに決めました。


「やがて来る朝」は「沈」む「夜」と対極にあり、主人公の絶望が終わる時と読めますが、「待って」いなければ訪れない時であり、彼が自力で「辿り着く」可能性は低いように考えられます。


それでも可能性を完全に否定しないところを見ると、主人公は抗う気力を失っても、わずかな希望は捨てていないことがわかります。