スピッツの楽曲「TRABANT」は、ただの旅行曲ではなく、深いメッセージが込められている作品です。
この歌詞には、日常からの脱却や自由への強い願望が表現されています。荒涼とした景色や日常の繰り返しの中で、真の自由と冒険を求める心情が描かれています。
今回は、この「TRABANT」の歌詞を深く掘り下げ、スピッツが伝えたいメッセージを考察していきます。
TRABANTという曲名の意味を考察
曲名「TRABANT」は、直訳すると「トラバント」というドイツの自動車ブランドを指しますが、このコンテキストでは、それ以上の意味を持つかもしれません。
トラバント車は、東ドイツ時代の象徴的な存在であり、技術的には遅れていたものの、多くの人々に愛され、特別な思い出の象徴となっています。
この曲の歌詞を通じて、古いもの、過去の遺産、そしてそれがもたらす感情的な重みと旅立ちの願望が表現されているようです。
歌詞は、灰色で荒涼とした風景、古い機械、そしてフェイクの味に酔う生活など、現状の閉塞感や一種の停滞感を描いています。
しかし、その中で「君と旅に出たい」という願望が繰り返されることで、現状を脱して新たな世界への憧れや希望を示しています。
また、「高い柵を乗り越えて」という表現からは、制約や障害を超える強い意志が感じられます。
「TRABANT」は、単なる旅の始まりを告げる曲名ではなく、過去と現在をつなぐ架け橋としての役割を担っていると考えられます。
それは、古い価値と新しい可能性が交差する点であり、聴き手にとっては自身の人生における新たな旅立ちや転換点を想起させるキーワードとなるでしょう。
この曲が、過去の重みを感じつつも、未来への希望を見出す旅への誘いであることを象徴しています。
結衣
TRABANTという歌詞の意味を徹底解釈
草木もない灰色の 固い大地の上に立つ
道は全部最終的に ぼやけて消えていく
唐辛子多めでお願い 何も変わらないけれど
古い機械も泣いている ため息隠すように
TRABANT -スピッツ
この歌詞は、進行と変化のない環境や状況に置かれた人々の感情を描いているように思われます。
まず、「草木もない灰色の固い大地の上に立つ」というフレーズは、生命力が感じられない荒涼とした場所での孤独や無力感を表しているかもしれません。
ここでの「灰色」という色は、通常、退屈や憂鬱を象徴しています。
次に、「道は全部最終的にぼやけて消えていく」という部分は、未来に対する不確かさや目標が見失われている状態を示していると考えられます。
人生の道が見えなくなることで、希望を失いがちになる心情が表れています。
「唐辛子多めでお願い 何も変わらないけれど」という行は、変化を求めているが、現状は変わらないというジレンマを感じていることを示唆しています。
唐辛子を多めにすることで、何か新しい刺激や変化を求めているが、それでも状況は変わらないという無力感が感じられます。
最後に、「古い機械も泣いている ため息隠すように」という部分は、使い古されたものや過去の遺物が、現状に対して悲しみを感じている様子を人間化して表現しています。
これは、過去の栄光や活気が失われ、現在が停滞していることへの哀愁を感じさせます。
全体として、この歌詞は停滞と変化の欠如がもたらす心理的な重圧と、それに対する内面的な葛藤を描いていると解釈できます。
結衣
曇り空を突き抜けて 君と旅に出たい
まだ前書きの物語 崩れそうな背景を染めていけ
寸前の街で生まれて しずくに群がるアリの
一匹として生きてきた フェイクの味に酔い
部外者には堕ちまいと やわい言葉吐きながら
配給される悦びを あえて疑わずに
TRABANT -スピッツ
この歌詞は、現実からの逃避と自己発見の旅について語っているようです。最初のカップレット「曇り空を突き抜けて 君と旅に出たい」は、文字通りの旅行だけでなく、人生の不確かさや困難を乗り越えて新しい何かを始めたいという願望を表しています。
また、「まだ前書きの物語 崩れそうな背景を染めていけ」というフレーズは、これから始まる物語や冒険に対する期待と、不安定な現状を変えたいという希望を示しています。
次の部分「寸前の街で生まれて しずくに群がるアリの一匹として生きてきた フェイクの味に酔い 部外者には堕ちまいと やわい言葉吐きながら 配給される悦びを あえて疑わずに」は、自分が社会の一員として受け入れられるために、本当の自分を隠して生きてきたことを表しています。
この部分は、社会の期待に応えるために自分を偽り、その過程で得られる小さな喜びに満足してきたが、本当の自分を見つめ直す時が来たことを示唆しています。
全体として、この歌詞は自己探求の旅と、自分自身と向き合い、真実を受け入れる勇気について語っていると解釈できます。
また、他人の期待に縛られずに自分自身の道を歩むことの重要性を強調しています。
結衣
高い柵を乗り越えて 君と旅に出たい
本当の温もり想定して すすけてる鳩をとき放て
塵と間違えそうな 伝説かき集めて
隠された続きを探る
TRABANT -スピッツ
この歌詞は、自由と冒険、そして新たな発見に対する渇望を表現しているようです。最初の部分「高い柵を乗り越えて 君と旅に出たい」は、文字通りの障害や制限を超えて、大切な人と共に新しい体験を求める願望を示しています。
ここでの「高い柵」は、社会的な制約や個人的な制限を象徴している可能性があります。
次に、「本当の温もり想定して すすけてる鳩をとき放て」は、真実や本質を理解しようとする努力と、それによって得られる解放感を描いています。
ここでの「すすけてる鳩」は、汚れや傷を帯びた無垢なもの、または平和の象徴としての鳩が時間と共に失われた純粋さを取り戻す希望を表しているかもしれません。
「塵と間違えそうな 伝説かき集めて 隠された続きを探る」は、見過ごされがちながら価値のある過去の物語や教訓を再発見し、それを通じて未知の事実や未来を解明しようとする探求心を表しています。
ここでの「塵と間違えそうな伝説」は、日常生活の中で忘れ去られがちながら、実は重要な意味を持つ過去の出来事や伝説を指していると考えられます。
全体として、この歌詞は過去と現在、そして未来への橋渡しを試みる旅に出ることの重要性と魅力を強調しており、聴き手に対して自らの限界を超えて新しい世界を探求する勇気を呼びかけているのです。
結衣
ギリギリの持ち物と とっておきのときめきを
君の分まで用意して 今日も夢見ている
その時が来ることを すぐにでも来ることを
最高の旅立ちを 今日も夢見ている
TRABANT -スピッツ
この歌詞は、未来への希望と期待を描いているようです。具体的には、「ギリギリの持ち物」というフレーズから、必要最小限の荷物を持って、新たな冒険に出る準備ができている様子が伺えます。
また、「とっておきのときめき」という言葉は、その旅がただの移動ではなく、心躍る特別な体験になることを期待していることを示しています。
「君の分まで用意して」という部分は、もしかするとこの旅を共にするはずだった誰かが同行できなくなったことを暗示しているかもしれません。
それでも、その人の分まで楽しむことを誓っているのでしょう。
「その時が来ることを すぐにでも来ることを」と繰り返すことで、旅立ちの時が迫っていること、そしてそれを心待ちにしている強い気持ちが表現されています。
最後に「最高の旅立ちを 今日も夢見ている」と結ぶことで、この旅がただの出発点ではなく、人生の中で特別な意味を持つ出来事になることを夢見ていることが強調されています。
全体として、この歌詞は変化への期待、未来への希望、そして何か大きなことへの前向きな心構えを感じさせる内容となっています。
結衣
まとめ・感想
スピッツの「TRABANT」は、灰色の大地という閉塞感と、そこを抜け出す旅への渇望を描いています。
歌詞は、日常の単調さや制約からの脱却を望む心情を、具体的なイメージとともに綴っており、リスナーに自由への憧れを強く感じさせます。
特に、「君と旅に出たい」というフレーズは、共に未知なる世界へ飛び出す勇気と希望を象徴していると言えるでしょう。
この歌詞からは、束縛を超えたいという強いメッセージが感じられます。
今回はスピッツの「TRABANT」の歌詞の意味を徹底解釈しました。
歌詞を聞いて、深く共感する人も多いのではないでしょうか。
これからもmusic.branchwithではスピッツを追って行くのでぜひチェックしてみてください！
