【じん/夜咄ディセイブ】の歌詞の意味を徹底解釈
執筆・監修: 佐藤 由花編集: 天野結衣最終更新: 2020/9/19
夜咄ディセイブという曲名の意味を考察
夜咄は夜の余暇に話をすることで、ディセイブは騙したり欺いたりすることを表す言葉です。「暇なら僕の話を聞いてよ。」と、主人公は誰かに自分の話をしています。何処か諦めたように。
この曲は仮面を被って本心を見せることのできない『僕』がその苦しみを自嘲気味に語る独白のような形になっています。
歌詞にはファンタジックな言葉が散りばめられていますが、昨今の人間関係での苦しみや自分という存在への嫌悪、感情に翻弄される様子などを描いていて、沢山の特に若い方に当てはまる歌詞なのではないかと思います。
完璧でなくては許されないこの社会と、そんな社会や他人に合わせなければいけない子供達の歪な心中が見えてくるような気がしてきます。
夜咄ディセイブの歌詞の意味を徹底解釈
1番
ビバップな浮遊感
夜が次第に乱反射して
ツービートで光って
たまには愚痴っちゃって良いかな
「ねぇ、ちょっと話そうか。
馬鹿な自傷性なんだけど、
もうなんか収まらない。
ネタ話だって体で一つどう?」
「じゃあ、ちょっと喋ろうか。
僕の非凡でいて妙なとこ
平凡を装った
僕がずっと悩んでいる事」
「十年は経ちそうな
ある日『怪物』の声がして
心臓を飲み込んだ
『嘘をつき続けろ』ってさ」「それ以来、僕は嘘つきで
騙せない人や物も無くなって
『怪物』に成り果てちゃってさ
…あぁ、ごめんね! 泣かないで
全部法螺話だよ?」
ひいらぎの解釈賑わう街が夜に染まっていく。
地に足の着かないこんな気持ちだから、たまには愚痴っちゃってもいいかな。
「ねぇ、ちょっと話そうか。
馬鹿な自傷性なんだけど、もうなんか収まらない気持ちだからさ。ネタ話ってことで一つどう?」
「じゃあ、ちょっと喋ろうか。
僕の普通じゃない所。平凡に見せかけて隠している、僕がずっと悩んでること。
十年くらい前の話、ある日『怪物』に『嘘をつき続けろ』って言われて、僕の心臓は飲み込まれていったんだ。」
「それから僕は嘘吐きで騙せない人や物もなくなって、普通の人間じゃなくなってね。
…あぁ、ごめんね!泣かないで、全部嘘だからさ。」
ビパップ、ツービートは音楽用語です。
乱反射とは、平面でない所に光が当たってバラバラに反射すること。
都会の建物に光が反射して、街が徐々に夜に染まっていく中、落ち着かないこの気持ちをたまには吐き出してしまおうと目の前の人に話し始めます。
それは普通じゃない自分の性質の話。
十年程前のある日、彼は全てを欺く不思議な力を手に入れ普通の人間ではなりました。
そしてその悲しい話を聞いた相手に、「泣かないで、全部嘘だから」とまた嘘を重ねていきます。
2番
「オーマイダーティ! なんて醜態!」
僕は誤魔化す なんて言ったって
この本心は不気味じゃない?
偽って、そっぽ向いて、嘘を重ねて
僕は今日もまた 徒然、嘲笑う。
ビバップ、消えそうな
夜が嫌いそうな少女にも
ツービート、泣きそうな
嘘が嫌いな青少年にも
そう、もう同じように
ちゃちな「理想」がインプットして
心臓を飲み込んだ.
それ以来気付いたんだ、僕らは「単純に理想叶ったとして、
一人ぼっちじゃこの世は生きていけない」
「それも嘘?」
「いやいや、本心だよ?」
崩れそうな脳が「No」で満ち満ちていく
ひいらぎの解釈「あぁもう汚いな。(間違う自分の)醜態は。」
僕はその間違いを誤魔化す
だってこの本心は不気味じゃない?
嘘で隠して、自分を偽って、僕はまたいつものように今日も嘲笑っている。
存在感が薄く、夜が嫌いな少女にも
泣き虫で、嘘が嫌いな青少年にも
僕と同じように心臓を飲み込まれて、それぞれの理想が具現化した。それから気付いたんだ。
「僕らは理想が叶ってしまったとして、ひとりぼっちだったらこの世は生きていけないんだ。」
「それも嘘かい?」
「いやいや、本心だよ」
壊れそうな脳内が否定で埋まっていく
彼は自分の本心を不気味だと思っています。
不気味なその心を、間違ってしまう出来損ないの自分を隠して、当たり障りのない人間を演じて生きています。
そしていつものように、このどうしようもない世界と自分を嘲笑っています。
ビパップとツービートは音楽用語で、「そのいち、そのに」というリズム感を表しています。
他の少年や少女にも、一番で出てきた不思議なことが起こっています。彼らには理想が具現化した力を手に入れはしましたが、独りでは人生きていけないと気付く。
だけど全てを偽る彼にはその考えが本物なのか嘘なのかもう分からなくなっています。自問自答のなかで、不気味な本心を否定する言葉が頭を埋めつくしていきます。
「オーマイダーティ! もっと聴いて!」
僕の心を 我が儘を この嘘を 本物を
「寂しいよ」なんて言った
僕は変わらない
ニヤけそうな程、常々呆れてる
「オーマイダーティ! もう嫌いだ!」
ほら、聴かせてよ
呆れちゃう様な 僕なんて
もう救えない?
『問題ないぜ』なんて言って
君は変わらない
「あぁ、ミスっちゃった」
また不気味な僕に、常々溺れていく
ひいらぎの解釈「あぁ、僕は汚いなぁ。もっと聴いてよ」
僕の我儘を、ありのままの思いを
寂しいよ、なんて言っても僕は変われない
自分でも笑っちゃうくらい呆れてる
「あぁ、汚いなぁ。もう嫌いだ」
ねぇ聴かせてよ
こんな僕なんてもうどうしようもないでしょう?
『問題ないぜ』なんて言ってのける君は変わらないな
「あぁミスっちゃった」
また不気味な心に、僕らは溺れていく
本当は我が儘を言ってみたい、辛いと軋んだ彼の心はボロボロです。それでも寂しいなんて言えない自分に、やっぱりどうしようもないなと彼は自嘲気味に笑います。
そこで「君」が登場します。「変わらない」と評価している所を見ると昔からそばにいる人なのでしょう。
こんな僕なんて救えないよね?と「君」に問いかければ、問題ないぜと返してくれる。不完全で不気味な彼の本心を、知って受け入れてくれた人がいたのです。誤魔化すことに失敗はしましたが、ずっと叫び出したかった気持ちが誰かに届きました。
「僕」は不気味な自分を受け入れることができたのでしょうか。
辛い気持ちに寄り添った、多くの人に共感を得られる曲です。
La fin...