【中島みゆき / 二隻の舟】の歌詞の意味を徹底考察!それぞれの孤独を乗り越えるためのメッセージ
執筆・監修: 天野結衣編集: 天野結衣最終更新: 2024/4/22
二隻の舟という曲名の意味を考察
「二隻の舟」という曲名は、この歌詞において非常に象徴的な意味を持っています。歌詞全体を通じて、二つの舟がそれぞれ独立しているが、同じ海を渡っている様子が描かれています。これは、人間関係、特に密接だが時には孤立感を感じるような関係を表していると解釈できます。お互いが同じ目的や方向に向かっているものの、波や風の影響を受けて常に一定の距離が保たれている状態が示されています。
この曲名は、人と人との関係がどれだけ近くても、各々が独自の戦いや試練を抱えていることを象徴しています。また、それぞれの舟が互いに影響を及ぼしながらも、完全には一つになることはない、という人間関係の複雑さや切なさを表しているとも言えるでしょう。このように、曲名「二隻の舟」は、歌詞におけるテーマやメッセージの核となる部分を端的に表現しています。
二隻の舟という歌詞の意味を徹底解釈
時は全てを連れてゆくものらしい
なのにどうして寂しさを置き忘れてゆくの
いくつになれば人懐かしさを
うまく捨てられるようになるの
難しいこと望んじゃいない
有り得ないこと望んじゃいない
時よ最後に残してくれるなら
寂しさの分だけ愚かさをください
二隻の舟 -中島みゆき
この歌詞は、時間の流れとそれに伴う心理的な変化に関する深い感情を表現しています。冒頭の「時は全てを連れてゆくものらしい」という部分は、時間がすべてのものを変化させ、移動させるという一般的な認識を示していますが、その流れの中で「寂しさを置き忘れてゆく」と続くことから、時間が経つにつれて解決されない寂しさ、残された感情の問題を指摘しています。
次に、「いくつになれば人懐かしさをうまく捨てられるようになるの」という部分は、成熟や年齢を重ねても人に対する懐かしさや愛着を手放すのは難しいという悩みを表しています。この部分は、人間の成長や経験が必ずしも感情的な解放に直結するわけではないことを認める一種の問いかけとなっています。
歌詞の中盤で出てくる「難しいこと望んじゃいない」と「有り得ないこと望んじゃいない」というフレーズは、歌詞の主体が非現実的なことを望んでいるわけではなく、普通の人間の感情的な願望に過ぎないことを強調しています。これにより、普遍的な感情の複雑さとその正当性を訴えていると解釈できます。
そして最後に「時よ最後に残してくれるなら寂しさの分だけ愚かさをください」という願いは、寂しさという感情を感じることに対してどこかで割り切れない人間の愚かさも受け入れてほしいという複雑な心情を表しています。時間がもたらす変化に翻弄されながらも、自分の感情の不合理さを受け入れ、それと折り合いをつけて生きていくことの難しさを歌っています。
全体を通して、「二隻の舟」というタイトルにも象徴されるように、人間とは異なる方向に進む二つの感情を抱えながら生きることの矛盾と葛藤を詩的に描いていると考えられます。
おまえとわたしは たとえば二隻の舟
暗い海を渡ってゆくひとつひとつの舟
互いの姿は波に隔てられても
同じ歌を歌いながらゆく二隻の舟
時流を泳ぐ海鳥たちは
むごい摂理をささやくばかり
いつかちぎれる絆 見たさに
高く高く高く
二隻の舟 -中島みゆき
この歌詞「二隻の舟」では、二つの異なる存在、具体的には「おまえ」と「わたし」という二人の関係性が表現されています。この二人は、暗い海を別々の舟で渡っているが、どちらも「同じ歌を歌いながら」という共有された行動や感情を持ちながら進んでいます。
「互いの姿は波に隔てられても」というフレーズからは、物理的には二人が離れ離れでも、何かしら精神的な絆や共感によって結ばれていることが伺えます。つまり、それぞれが独立した旅をしているけれども、内面的にはお互いを感じ、支えあっているという状況が映されています。
一方で、「時流を泳ぐ海鳥たちはむごい摂理をささやくばかり」という部分は、自然や宇宙の冷酷な法則や運命を暗示しており、これが恐らく「いつかちぎれる絆」という予感や不安をさらに強調しています。海鳥は自由に飛び交う生き物ですが、その存在が「むごい摂理」を伝える役割を担っていることで、生きとし生けるものが避けられない運命や、切なさを織り交ぜた孤独感に焦点を当てています。
「高く高く高く」という繰り返しは、どこかへ向かう切望、あるいは何かを超越しようとする強い願望を象徴しているかのようです。これは恐らく、二人の舟がもしも離れ離れになるという未来に対して、それでも高みを目指し続けるという前向きな姿勢を暗示しています。
全体を通じて、この歌詞は人間関係の脆さと強さを同時に表現しており、特に恋愛や深い友情における寄り添いながらも個の独立性を保ち続ける難しさと美しさに光を当てています。
敢えなくわたしが波に砕ける日には
どこかでおまえの舟がかすかにきしむだろう
それだけのことでわたしは海をゆけるよ
たとえ舫い網は切れて嵐に飲まれても
時流を泳ぐ海鳥たちは
むごい摂理をささやくばかり
いつかちぎれる絆 見たさに
高く高く高く
二隻の舟 -中島みゆき
この歌詞は、深く感慨深い愛と絆、そしてそれに伴う切なさと無常感を象徴しています。歌詞の中での「二隻の舟」とは、おそらく二人の主体、つまり恋人や親密な関係にある二人のメタファーと解釈できます。一方の舟が波に砕ける(つまり困難や終焉を迎える)とき、もう一方の舟も微かに影響を受ける(「どこかでおまえの舟がかすかにきしむ」)ことから、彼らの間には深いつながりがあることが伺えます。
「それだけのことでわたしは海をゆけるよ」という部分は、このつながりや影響があるからこそ、主体は困難な海(人生の試練)も進んでいけるという決意を示しています。たとえ直面する困難が大きくても(「たとえ舫い網は切れて嵐に飲まれても」)、彼らの絆が最終的には断ち切られる運命にある(「いつかちぎれる絆」)としても、その絆を見届けること、体験することに価値を見出しているようです。
また、「時流を泳ぐ海鳥たちは、むごい摂理をささやくばかり」という表現は、自然や宇宙の冷酷な法則や運命についての認識、あるいは受け入れの様子を示しています。海鳥が自然の一部として時の流れに身を任せるように、人間もまた避けられない運命や自然の法則に従うしかないという認識かもしれません。
こうして見ると、「二隻の舟」は相互に依存し、時には影響し合いながらも、それぞれが自身の道を航海していく二人の関係を描いていると言えるでしょう。彼らの旅は必ずしも平穏ではなく、最終的には分かれる運命にあるかもしれない。しかし、その運命を共に見つめることに美しさや意義を見出すのです。全体として、愛と運命、そして人生の脆さと美しさを巧妙に織り交ぜた歌詞です。
おまえの悲鳴が胸にきこえてくるよ
越えてゆけと叫ぶ声が ゆくてを照らすよ
きこえてくるよ どんな時も
おまえの悲鳴が胸にきこえてくるよ
越えてゆけと叫ぶ声が ゆくてを照らす
二隻の舟 -中島みゆき
歌詞「二隻の舟」には、困難を乗り越える決意や支え合う関係性を表現している深い意味が込められています。この歌詞では、「おまえの悲鳴が胸に聞こえてくる」というフレーズが、相手の苦しみや痛みを自身のものとして感じ取るほどの強い共感や連帯感を示しています。また、この悲鳴を聞くことが、歌い手自身の行動を促す動機となっていることから、相手を支え、助けたいという強い願望が伝わってきます。
「越えてゆけと叫ぶ声が ゆくてを照らす」というフレーズは、どんな困難や障害があっても、前に進むべきだというメッセージを力強く伝えています。この声が道を照らすという表現からは、希望や指針を示す光としての役割を担っていることが感じられるでしょう。これは、互いに支え合い、助け合うことで、一つ一つの困難を乗り越えていく力となり、結果として互いの絆をより強固なものにしていく過程を描いていると解釈できます。
総じて、この歌詞は人間関係の深い結びつき、特に困難な状況の中での支え合いの大切さを象徴していると言えるでしょう。人生の旅の中で互いが二隻の舟のように時には迷い、時には助け合いながら前進していく様子がこの歌詞からは浮かび上がってきます。
難しいこと望んじゃいない
有り得ないこと望んじゃいないのに
風は強く波は高く 闇は深く星も見えない
風は強く波は高く 暗い海は果てるともなく
風の中で波の中で たかが愛は木の葉のように
わたしたちは 二隻の舟 ひとつずつの そしてひとつの
わたしたちは 二隻の舟 ひとつずつの そしてひとつの
わたしたちは 二隻の舟 ひとつずつの そしてひとつの
わたしたちは 二隻の舟 ひとつずつの そしてひとつの
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二隻の舟 -中島みゆき
この歌詞「二隻の舟」は、一見してシンプルながらも深い感情の揺れを描いています。曲の出だしでは、求めていることが別段非現実的ではないにもかかわらず、愛する人との関係が困難である心情が表現されています。「難しいこと望んじゃいない」「有り得ないこと望んじゃいないのに」このフレーズからは、基本的な幸せや愛を求めているにすぎないのに、それが思うようにいかない葛藤が読み取れます。
続く部分では、その困難を自然のイメージで強烈に描写しています。「風は強く波は高く」、「闇は深く星も見えない」という言葉からは、関係の中で直面している壮絶な困難と孤独、そして不確実性が感じられます。闇や星が見えないというのは、未来が見えない不安や方向性の喪失を象徴しているとも解釈できます。
そして、「わたしたちは二隻の舟 ひとつずつの そしてひとつの」というリフレインは、二人が各々独立した存在であると同時に、なんらかの形で一つになろうとする関係性を表しています。舟がそれぞれ独立しているように見えるが、実は何かしらの形でつながり合っている—この点が、この関係の複雑さと美しさを同時に表していると言えるでしょう。
全体を通して、この歌詞は愛という感情が持つ複雑さと、人間関係の中で感じる苦悩や希望を、自然現象としての海や舟を使って繊細かつ力強く描き出しています。それは聴く者にとって、共感や自己反省を促す力を持っていると考えられます。
まとめ
今回は中島みゆきの「二隻の舟」の歌詞の意味を徹底解釈しました。
歌詞を聞いて、深く共感する人も多いのではないでしょうか。
これからもmusic.branchwithでは中島みゆきを追って行くのでぜひチェックしてみてください!